京都新聞 2018年2月9日(金)
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京都市交通局の男性職員が2013年10月、過労死ラインの月100時間を超える残業が原因で精神疾患を患って自殺していたことが9日、分かった。遺族は市を相手取り、約1億1700万円の損害賠償を求める訴訟を起こし、市が「勤務状況への配慮が不十分だった」と謝罪した上で遺族に5千万円を支払う内容で和解することで今年1月に合意した。
交通局によると、当時43歳だった職員は13年10月31日、大阪市内で自殺した。14年4月からの消費税増税に伴う市営地下鉄と市バスの運賃改定を担当し、死亡前1カ月の残業は100時間30分だった。労使協定(三六協定)では残業の上限は80時間と規定しているが、同局は「公務のため臨時の必要がある」として上限を超える残業を認めた。
遺族は京都市に安全配慮義務違反があったとして、16年6月に奈良地裁に提訴した。和解条項などによると、市は職員を長時間労働に従事させた上、職員の精神的、身体的な不調に気付かなかった点を「市の配慮が不十分だった」と謝罪し、賠償金を支払うとした。市は16日開会の2月議会に関連議案を提出する。可決後に和解が成立する。
地方公務員災害補償基金京都市支部は15年12月、職員の死亡について公務による精神疾患を原因とする自殺と認定している。
長時間労働を巡っては近年、電通社員の自殺やNHK記者の過労死が問題となっている。市交通局職員課は「超過勤務で職員が自殺したのは残念。働き方改革の流れの中、勤務状況の把握と健康管理を進めて再発防止に努めたい」とコメントした。