消費税ゼロなら“非正規労働問題も解消する”というカラクリ (7/26)

消費税廃止でニッポン復活

消費税ゼロなら“非正規労働問題も解消する”というカラクリ
公開日:2019/07/26 06:00 更新日:2019/07/26 06:00
 
格差は広がるばかり…(C)日刊ゲンダイ
 
 消費税を引き上げると派遣社員が増える――。総務省「就業構造基本調査」によれば、1997年の非正規労働者は1139万人(全体の23.1%)だったが、これ以降から増え続け、2018年は2120万人(同37.9%)になっている。
 
 97年は消費税が3%から5%に上がった年で、これから非正規労働者の割合が増えていることが分かる。
 
 消費税は輸出大企業に恩恵をもたらしている。還付金制度もそのひとつで、湖東京至税理士(元静岡大学教授)の試算によれば、トヨタや日産、キヤノン、パナソニックなど製造業13社だけで約1兆円の還付金を受けているという。
 
■派遣社員なら仕入れ税額で税金控除
 
 消費税の納付税額には「仕入れ税額の控除」というものがあって、「原材料費等の購入」や「広告宣伝費、厚生費、接待交際費、通信費、水道光熱費」などを控除して計算され、税額が少なくなる。また、この控除対象には「外注費」という項目もあり、加工賃や人材派遣、ビル清掃のありとあらゆるところを派遣や請負に切り替えれば、その経費まで控除される。当たり前だが、正社員の給与は控除されず、だからこそ企業はせっせと正社員をリストラし、社員を非正規労働者に置き換えて“節税”してきたわけだ。
 
 要するに消費税そのものが、正規社員と非正規社員の格差、つまり、貧困格差を生み出した元凶のひとつと言えるのだ。
 
 
 この問題に関しては、青山学院大学教授(租税法)の三木義一氏も著書「日本の税金」の中で、〈消費税は派遣労働を税制面から促進してしまう〉と指摘している。再度、分かりやすく説明すると、企業と派遣業者には雇用関係はないから、企業が支払う金銭は「給与」に当たらないというわけだ。
 
 消費税のアップと呼応するかのように労働者派遣法も改正され、非正規労働者や派遣労働者が増えていった。消費税が8%にアップした14年の直後にも派遣法が改正され、専門業務の恒常的派遣が合法化された。当然、今年10月から税率が上がれば、企業はさらに「外注費」の割合を高めてくるだろう。
 
 経済評論家の荻原博子氏はこう言う。
 
「10月に10%に上がれば、ますます非正規労働者は増えるでしょう。一方、内需型の中小企業に限っては税制面の優遇は少ないですから、内部留保も増やせない。結局、人件費を抑えるために非正規労働者を増やすでしょう。この半年、毎月勤労統計調査の所定内給与額は下がり続けています。雇用格差や貧困は広がるばかりです」
 
 消費税のような間接税は、その逆進性から低所得者層ほど負担が重くなる。しかし、その低所得者をつくり出しているのが消費税だったとしたら、まさにブラックジョークでしかない。
 

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