(W)日韓の関係悪化、心配です。日本の措置に対して、本日、文在寅大統領が出した声明を京郷新聞が速報しました。拙い韓国語ですので、誤訳があるかも知れませんが、急いで試訳してみました。
(試訳 文責:脇田滋)
[速報]文大統領「国民の偉大な力…再び日本に負けない」
キム・ハンソル記者hansol@kyunghyang.com
入力:2019.08.02 14:14修正:2019.08.02 14:20
[速報]文大統領「国民の偉大な力…再び日本に負けない」
文在寅大統領は、2日、日本が韓国をホワイトリスト(輸出審査優待)国家から除外する追加貿易報復措置を強行することにしたことに対して「問題解決のための外交的努力を拒否し、事態をより一層悪化させる非常に無謀な決定で、深刻な遺憾〔の意〕を表わす」と表明した。「日本の不当な経済報復措置に対して相応する措置を断固として取って行く」とし、「正面対抗」も示唆した。
文大統領は、この日午後、大統領府で開催した緊急閣僚会議冒頭発言で「わが国政府と国際社会の外交的解決努力を無視〔冷遇〕し、状況を悪化させてきた責任が日本政府にあることが明確になった以上、今後広がる事態の責任も全面的に日本政府にあるという点を明確に警告する」としてこのように述べた。
文大統領は、冒頭発言から引き続き韓国・日本経済衝突の責任が日本にあるという点を強調した。文大統領は「外交的解決法を提示して、追い詰められた道に行かないことを警告し、問題解決のために額を突き合わせようという、わが国政府の提案を日本政府はついに受け入れなかった」とし、「(日本は)一定の期間を定めて現在の状況をこれ以上悪化させないために交渉する時間を持つように促すアメリカの提案にも応じなかった」と述べた。
日本の今回措置が「強制徴用判決」に対する報復的性格という点ももう一度強調した。
文大統領は「どんな理由で弁解しようが、日本政府の今回の措置は、わが国大法院の強制徴用判決に対する明白な貿易報復」とし、「また、「強制労働禁止」と「三権分立に基づいた民主主義」という人類普遍的価値と国際法の大原則を破壊する行為」と述べた。
日本の今回措置の「意図性」に対してもより強力に批判した。文大統領は「私たちがより一層深刻に受けとめるのは、日本政府の措置がわが国経済を攻撃し、わが国経済の未来成長を妨げて打撃を加えるという明らかな意図を有しているという事実」とし、「最も近い隣国であり、友邦と思ってきた日本がそのような措置を取ったことは誠に残念かつ残念である」と述べた。
■ 「日本に再び負けない」
文大統領は「日本の措置は、両国間の長い間の経済協力と友好協力関係を傷つけることであるとして、両国関係に対する重大な挑戦」とし、「また、グローバル供給網を破壊して世界経済に大きな被害を及ぼす利己的な迷惑行為で、国際社会の非難を逃れることはできない」と批判した。
また、「日本の措置によってわが国経済は厳しい状況に困難がより増した」としつつも「だが、私たちは再び日本に負けないだろう」と強調した。
文大統領は「私たちは数多くの逆境を勝ち抜いて今日に至った」とし、「少なくない困難が予想されるが、韓国企業と国民にはその困難を克服する力量がある」と強調した。また「過去にもそのようにしてきたように、私たちは逆境をむしろ跳躍する機会にするだろう」と言明した。
あわせて、「政府も素材・部品の代替輸入と在庫物量確保、基礎固有技術の導入、国産化のための技術開発と工場新・増設、金融支援など、企業の被害を最小化するためにできるだけの支援を尽くす」とし、「素材・部品産業の競争力を高めて再び技術覇権に振り回されないのはもちろん、製造業強国の地位を一層高める契機にする」と述べた。
また「政府と企業、大企業と中小企業、労と使、そして国民が共に力を集めるならば、十分にやり遂げることができる」とし、「政府と韓国企業の力量を信じて、自信を持って、共に団結することを国民に呼び掛ける」と依頼した。
■ 「わが国の歴史正面対抗できる方案を持っている」
初めて日本の貿易報復措置に対する「正面対抗」も示唆した。
文大統領は「決して望まなかったことだが、わが国政府は日本の不当な経済報復措置に対して相応する措置を断固として取っていく」とし、「たとえ日本が経済強国だとしても、わが国経済に被害をもたらそうとするならば、私たちもまた正面対抗できる方案を有している」と述べた。
文大統領は「加害者である日本が居直ってむしろ大声を上げる状況を決して座視しない」とし、「日本政府の措置状況によって、わが国も段階的に対応措置を強化していくだろう」と述べた。「すでに警告した通り、わが国経済に意図的に打撃を与えるならば日本も大きな被害を甘受しなければならない」とも述べた。
文大統領は「わが国政府は、今でも対応と正面対抗の悪循環を願っていない」とし、「止まることができるところはただ一つ、日本政府が一方的で不当な措置を一日も早く撤回して対話の道に出てくること」と述べた。
■ 「力で相手を制圧した秩序は過去の遺物」
韓国と日本の過去の歴史に言及して、「加害者である日本がむしろ傷をほじくり返すならば、国際社会の良識が決して容認しないだろうという点を日本が直視することを望む」と警告もした。
文大統領は、「国民の皆様にも特に申し上げる。私たちは今年特に3.1独立運動と臨時政府樹立100周年を記念し、新たな未来100年を誓った」と述べた。
それと共に「力で相手を制圧した秩序は過去の遺物に過ぎない」とし、「今日の大韓民国は過去の大韓民国でない」と述べた。
文大統領は、「国民の民主力量は世界最高水準であり、経済も比べられないほど成長した」とし、「いかなる困難も十分に克服する底力を有している」と述べた。
文大統領は、「当面は困難があるだろう。しかし、挑戦に屈服すれば、歴史は再び繰り返される」とし、「今の挑戦をむしろチャンスと感じて新たな経済跳躍の契機にするならば、私たちは十分に日本に勝ち抜くことができる。わが国経済が日本経済を跳び越えることができる」と強調した。
文大統領は、「歴史に近道はあっても省略はないという話がある」とし「いつかは越えなければならない山だ。今、この場で立ち止まるならば、永遠に山を越えることはできない」と述べた。
文大統領は「国民の偉大な力を信じて政府が先頭に立つ」とし、「挑戦を勝ち抜いた勝利の歴史を国民と共に、もう一度作る」と述べた。
原文参照:
【追記 2019.08.04】
日本の新聞・TVでは、文大統領が「盗人猛々しい」という表現を使ったと報道しています。本当でしょうか? これについて次のようなtweetがありました。
>徐台教(ソ・テギョ)
>@DaegyoSeo
>文大統領の発言中の「적반하장(賊反荷杖)」ですが、必ずしも「盗人猛々しい」と訳す言葉ではないと私は思います。その訳もまた「煽り」でしょう。道理に合わない、主客転倒といった意味に過ぎません。
私は、以前、韓国国会議長の発言の中で「적반하장」を「盗人猛々しい」と言ったと訳されたことに違和感をもっていました。
この「적반하장」という言葉が文大統領発言の公式の「全文」にあるか探していたのですが、見当たりませんでした。ところが動画を改めて見ると、文大統領はこの言葉を確かに使っていました。
この「적반하장」を日本の記者は「盗人猛々しい」と訳したのだと思います。
たしかに韓日辞書には「盗人猛々しい」という訳語があります。
しかし、徐台教さんの指摘されている通り、この訳語は間違いです。
おそらく「賊反荷杖」という四文字熟語から来た言葉なので「賊=盗人」から安易に「盗人猛々しい」という誤解を生む訳語になったのだと思います。
韓韓辞典〔国立国語研究所〕では、次のような意味となっています。
도둑이 도리어 매를 든다는 뜻으로, 잘못한 사람이 아무 잘못도 없는 사람을 나무람을 이르는 말.
=(脇田試訳) 泥棒が逆に(罪人を打つ)鞭を振るうの意味で、間違った人が何らの間違いもない人をたしなめることを表わす言葉
つまり、「盗人猛々しい」という訳語は間違いです。全くニュアンスが違います。
徐台教さんの指摘された通り「主客転倒」に近い意味です。日本語では「居直って」がありました。これが一番近い意味の訳だと思います。
【20190806 追加】