最低賃金、高卒初任給水準に 政府原案に中長期目標

政府と労使の代表らによる「成長力底上げ戦略推進円卓会議」が議論している最低賃金(最賃)の中長期的な引き上げ目標について、政府の原案が10日明らかになった。将来的には、高卒初任給の平均水準を目標とする。この目標にむけ、まずは12年ごろまでに、小規模企業の女性で最も低い水準の初任給程度に引き上げるとしている。  原案は、高卒初任給の水準を目指して政労使一体で取り組むことを明記する。07年の最賃は全国平均で時給687円で、同年の高卒初任給は、小規模企業の女性で最も低いグループの水準が740円、全体の平均が927円。今後初任給が上がれば、目標水準も連動して上昇する。労使との調整を経て、20日の会合で合意を目指す。 (朝日新聞朝刊)

 厚生労働省の中央最低賃金審議会は24日、08年度の引き上げについて議論を始める。円卓会議で中長期的な目標について合意すれば、今年度の引き上げ幅も、10年ぶりに高い引き上げ幅(平均14円)だった07年度を上回る水準になる可能性が高まる。

 これまでの円卓会議では、労働側が高卒初任給の水準を主張し、使用者側が「目標設定は中小企業の経営を圧迫しかねない」と反発。政府の原案づくりも難航していた。しかし物価上昇が続く中、「生活者重視を掲げる福田政権として、底上げへの強い意思を示す必要がある」(関係者)と判断したとみられる。ただ、原油高などで経営が苦しい中小企業も多いとみられ、20日の会合で合意できるか不透明な要素もある。

この記事を書いた人