ワーキングプア(働く貧困層)やシングルマザーなど現代の貧困問題に取り組む「反貧困ネットワーク」(代表・宇都宮健児弁護士)が19日、東京都新宿区の明治公園で「世直しイッキ大集会」を開いた。解散風が強まる中、2000人(主催者調べ)が参加。暮らしの窮状を訴え、「選挙では貧困問題を争点に」と声を合わせた。
集会は、貧困問題を全国で訴え6000人余りが参加したキャラバンの仕上げとして企画された。
住居問題の分科会では、山形県出身の土田政彦さん(29)が発言。製造業派遣の仕事で上京したが、10カ月で仕事がなくなり住む場所を失った。敷金、礼金なしのアパートに越したが、家賃が遅れるたびに14回も鍵を替えられたという。「派遣労働で貧困に陥り、住居も仕事も不安定になった」と語った。
労働の分科会では、日雇い派遣の男性が「仕事内容に不安があっても、文句を言えば、『替わりはいくらでもいる』と干される。危険な仕事でも1日7000円。私は部品ではない」と訴えた。
女性と貧困の分科会では、シングルマザーの桐田史恵さん(30)が「母子家庭だからとアパートを貸してもらえない。友人と部屋をシェアしたら、児童扶養手当の申請時に『養ってもらってるんじゃないか』と根掘り葉掘り聞かれた」と心外な経験を明かした。
集会では「貧困を直視し、それに向けて政策を総動員する政治を求める」との宣言を採択。選挙に向けて走り出した政党や候補予定者にアピールした。【東海林智、市川明代】