大阪府の橋下徹知事が率いる「大阪維新の会」が提出していた「君が代」起立強制条例が3日夜、まともな審議もなしに府議会本会議で「維新」などの賛成で可決しました。日本共産党、自民党、公明党、民主党は反対しました。文部科学省は義務づけ条例について「聞いたことがない」としており、前例のない暴挙です。
強制条例は、第1条で「国歌の斉唱について定めることにより、府民、とりわけ次代を担う子どもが伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する意識の高揚に資する」「服務規律の厳格化を図る」と目的をうたっています。
「君が代」斉唱時に教職員に起立を強制する条例は、憲法の「思想・良心の自由」を侵すもの。橋下知事はさらに9月府議会で起立しない教職員を懲戒解雇にする条例案の提出を狙っています。
教職員でつくる大阪教職員組合(全教加盟)は、「数の暴挙による強行可決を糾弾する」との小林優書記長の談話を発表し、条例の廃止と「免職を含む懲戒処分」条例案を阻止するたたかいを断固すすめると表明しています。
大阪労連の川辺和宏議長は「権力を掌握したら何でもできるというのは、戦前のヒトラーにも通じるファシズムのやり方にそっくりです。橋下知事の蛮行を多くの府民に知らせ、ストップさせる」と話しています。
同日昼には、大阪労連など憲法、労働、教育7団体が暴挙に怒りを込めて抗議し、府庁前で宣伝しました。「憲法を守れない知事はやめてもらいます」と書いた横断幕を掲げ、通路を埋めた80人余が「『君が代』起立強制反対」と力強く唱和しました。
大阪母親大会連絡会の植田晃子委員長は「話をすればするほど、『維新』に投票した母親たちのほとんどが『こんなことされたらたまらん』と声をあげています。子どもたちが被害者にならないよう頑張りましょう」とよびかけました。