NHKニュース 東京弁護士会が人権侵害でオリンパスに警告

NHKニュース 1月27日

大手精密機器メーカー「オリンパス」の社員が、会社内に不正があると内部通報の窓口に伝えたのをきっかけに、意に沿わない異動など深刻な嫌がらせを受けていると訴えたことについて、東京弁護士会は「重大な人権侵害に当たる」として、会社に対し、是正を求める警告を出しました。

オリンパスの社員の濱田正晴さん(51)は「取引先から社員を不正に引き抜こうとしている」と社内の通報窓口に伝えたことをきっかけに、意に沿わない異動をさせられるなど深刻な嫌がらせを受けているとして、3年前、人権救済の申し立てを行いました。これについて東京弁護士会は「異動は通報を行ったことへの報復だ」と認めたうえで、「上司が人格や尊厳を傷つける言動を繰り返し、人事評価を著しく低くしたことなどは重大な人権侵害に当たる」として、オリンパスに対し、最も重い警告を出し、是正を求めました。濱田さんが起こした裁判でも去年8月、2審で「不当な異動だ」と認められ、異動の取り消しと賠償を命じる判決が言い渡されています。濱田さんは「私はオリンパスが大好きなので、この状況から早く脱してオリンパス再生の力になりたい」と話しています。警告についてオリンパスは「厳粛に受け止め、改善すべき点があれば改善したい。内部通報に関しては、外部に通報窓口を設置するなどの検討を行っており、早期に実現したい」というコメントを出しました。

内部通報を巡っては、食品の偽装事件などをきっかけに、6年前、「公益通報者保護法」が作られ、通報した人を解雇したり、降格したりするなど不利益に取り扱うことは禁じられました。法律の制定に関わった一橋大学大学院の松本恒雄教授は「内部告発は、以前は裏切り行為だという意識があったが、会社にとってむしろ有益なことだと意識を変えるべきだ。オリンパスの場合は、通報を受ける体制は作ったが、魂が入っていなかった。制度を生かすためには経営者が社員に対し、安心して情報を提供するようメッセージを出すことが重要だ」と指摘しています。

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