http://mainichi.jp/kansai/news/20120226ddn001010004000c.html
◇4月実施、組合に提示へ(毎日新聞)
大阪市交通局は、民間バス会社より高額と指摘されている市営バス運転手の年収(平均739万円)について、来年度から4割程度削減する方針を固めた。「民間並みに合わせる」との橋下徹市長の方針に基づき、在阪の大手私鉄系バス会社の最低水準に引き下げる。交通局は週明けにも橋下市長の了承を得て、労働組合との団体交渉で削減案を提示するが、労組の反発は必至とみられる。
交通局によると、市営バス運転手は計約700人。平均年収(49・7歳)は、在阪大手5社(阪急、南海、京阪、近鉄、阪神)の平均(44・5歳、544万円)より195万円高い。しかし、バス事業は28年間、赤字決算が続いており、累積赤字は10年度で604億円に上っている。
運賃収入に見合った給与体系とするよう橋下市長から指示を受けた交通局は1月下旬、民間の平均をやや上回る2割強の削減案を橋下市長に提案。「これまでにないすさまじい削減」(交通局幹部)としたが、橋下市長は「民間は赤字を出さないよう必死なのに、赤字だらけの交通局が民間平均なのはおかしい」と突き返した。
このため、交通局は削減案を練り直し、在阪大手5社のうち最低水準の近鉄(447万円)、南海(441万円)程度まで引き下げる方針を決めた。
給与カットには条例改正が必要。市交通局側は労使交渉での妥結を経て、今月28日〜3月27日に開かれる2月議会で可決させ、4月1日からの実施を目指したい考え。実現すれば20億円以上の人件費削減となるという。
市役所全職員の給与は来年度から平均7・2%削減される。交通局の現業職員約5400人の給与は更に引き下げるとしており、バス運転手の下げ幅が最大になる見通し。地下鉄運転士の平均年収も民間平均に比べて1割程度高く、見直される。
給与を大幅に削減した例としては、07年3月に財政再建団体となった北海道夕張市が一時、職員給与を30%カット。スキー場の借金返済に苦しむ長野県王滝村も07年度に20%削減した。【津久井達】
大阪市バス:運転手、年収4割削減 新藤宗幸・元千葉大教授の話
http://mainichi.jp/kansai/news/20120226ddn001010005000c.html
◇交渉で根拠示せ−−新藤宗幸・元千葉大教授(行政学)の話
大阪市営交通の給与はたしかに高いが、4割削減は異常だ。民間と比較するなら、民営化してから削減するのが筋ではないか。職員にも生活があり、交通局は削減の根拠を示して誠実な労使交渉をすべきだ。橋下市長は市職員への配慮が薄いが、それがかえって市民には受けるのだろう。