逆効果 怒りに火をつけた
2012年7月14日 掲載
毎週、金曜夜に首相官邸前で行われている「脱原発デモ」は13日も行われ、主催者発表によると15万人が集まった。
先週よりも参加者の出足は早く、午後5時半には地下鉄国会議事堂前駅の4番出口から官邸に通じる道の歩道は人がぎっしり。一歩も進めない状況だった。
6時にシュプレヒコールが始まり、参加者は「再稼働 反対」を大合唱。通販で購入した団扇(うちわ)太鼓を鳴らす人、野田首相そっくりのマスクをかぶった人、ほら貝を吹く人と、趣向をこらしたアピールを披露して、デモは午後8時に解散した。
異常なのは、よほど官邸サイドがデモを嫌っているのか、規制をどんどん強めていることだ。大森から来た60代の男性はこんな不満をもらした。
「先週は車道に人が立ち入ってもいいようになっていたのに、今週はシャットアウトしている。だから、みんな狭い歩道の上で身動きできない状態なんです」
さいたま市在住の30代OLは今回が3度目の参加。「警察はどんどん厳しくなっている」と言う。
「先週も今夜も参加者は紳士的に行動していた。このデモは規制がなくても安全なんです。狭い歩道に押し込んだほうが何か起きたときに大事故につながるんじゃないですか」
「先週も今夜も参加者は紳士的に行動していた。このデモは規制がなくても安全なんです。狭い歩道に押し込んだほうが何か起きたときに大事故につながるんじゃないですか」
警察はデモ隊を官邸前に近づかせないために、かなり手前からブロックして、官邸から遠い場所に誘導。参加者を分断していた。
しかし、いくら規制を強めても、逆効果になるだけだ。
「官邸前のデモは、『アラブの春』のように、フェイスブックなどを通じて、自然発生的に集まったものです。動員されたものじゃない。だから、規制してもなくならない。官邸前でのデモを全面禁止にしても、場所を東電の本社前など、他に移して行われるだけです。規制を強めれば反発を呼ぶだけなのに、首相官邸はまったく分かっていません」(立正大教授・金子勝氏=憲法)
首相官邸はいつまで国民の声を無視するのか。