毎日新聞 オスプレイ:沖縄で広がる抗議大会 既に過半21市町村

毎日新聞 2012年11月11日

オスプレイ配備撤回などを求め、怒りの声を上げる大会の参加者たち=沖縄県嘉手納町のかでな文化センターで2012年11月7日午後8時過ぎ、井本義親撮影

 米軍垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備に反対する沖縄県内の市町村主催の大会は、7日の嘉手納町での集会が21カ所目で、開催市町村が沖縄の全41市町村の過半数に達した。9月9日に10万1000人(主催者発表)が集まった県民大会実行委によると、市町村主催の大会がこれほど続くのは72年の本土復帰後初めて。米兵2人が逮捕された集団強姦(ごうかん)致傷事件があった10月16日以降は、併せて事件への抗議や日米地位協定の抜本的改定をも求めており、沖縄の怒りは燎原(りょうげん)の火のように広がっている。【井本義親】

 「オスプレイはやりたい放題に飛び、米兵の事件も続発する。忍従は限界」「怒りのマグマは爆発寸前、今こそ決起すべきだ」

 極東最大の米空軍基地、嘉手納基地に町面積の83%をとられる沖縄県嘉手納町。7日夜に開かれた「オスプレイの配備撤回を要求する嘉手納町民大会」には、平日の夜というのに約950人(実行委発表)が集まり、弁士たちが声をふり上げる度に拍手で沸いた。

 開会直前の夕方、嘉手納基地上空をオスプレイが何度も旋回した。米軍の計画では、普天間飛行場(同県宜野湾市)に配備されたオスプレイの本格運用が始まれば、嘉手納には弾薬搭載で年間1200回飛来する予定だ。

 「国防の役割を十分担わされてきた。これ以上の負担、犠牲はごめんこうむる。日米安保が必要なら本土でオスプレイを引き取ってほしい」。当山宏町長のあいさつに、会場からひときわ大きな拍手が起こった。

 参加した嘉手納町の団体職員、洲鎌(すがま)武夫さん(60)は「沖縄をこれ以上無視し続ければ沖縄は全基地撤去に向かうしかない。沖縄の声に今度こそ向き合ってほしい。日米安保が必要なら本土で応分の負担をしてほしいと言っているだけだ」と話した。

 市町村の大会は、オスプレイ配備先の米軍普天間飛行場があり、6月に大会を開いた宜野湾市を除き、9月9日の県民大会での「今後も各地で大会を」との呼びかけに応じて開かれている。基地がない市町村で開かれたり、日米安保や米軍基地を容認してきた保守系の首長が参加しているのも特徴で、実行委幹部は「沖縄の住民運動史において異例だ」と話す。

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