主要閣僚による靖国参拝や日本による植民地支配の再解釈をめぐる安倍晋三首相の発言に厳しい批判が先月に起き、首相は先週、弁明に追われた。そんななか、日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が旧日本軍にとっての従軍慰安婦の必要性を容認する発言をしたことから、国内外で憤りが噴出している。
橋下氏は13日、大阪市役所で記者団に対し、従軍慰安婦問題について「軍の規律を維持するには当時は必要だった」と述べ、「銃弾が雨・嵐のごとく飛び交う中で、命を懸けて走っていく時に、猛者集団、精神的に高ぶっている集団をどこかで休息させてあげようと思ったら、慰安婦制度が必要なのは誰だって分かる」と話した。
旧植民地の慰安婦の強制連行への旧日本軍の組織的な関与は歴史的な事実として国際的に認識されているが、この事実の証拠をめぐっては日本国内では引き続いて議論されている。しかし、橋下氏の不作法な歴史解釈と、兵士はストレス発散のために性的行為が必要とする発言は国内の主流派の支持を得られる公算は小さい。
政府関係者は素早く橋下氏の発言から距離を置いた。谷垣禎一法相は14日、今の時点で(慰安婦の)必要性を強調する必要があるのか、大変疑問だと批判。また、稲田朋美行政改革担当相は、橋下氏による海兵隊員の風俗業活用発言に「意味が分からない」と不快感を示した。菅義偉官房長官は他党の発言なので、政府の立場でコメントすることは控えたいと述べた。
第二次世界大戦中の旧日本軍の従軍慰安婦問題の解決を目指す韓国の市民団体でソウルを本拠とする「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」のユン・ミヒャン代表は、14日に韓国メディアが広く報じた橋下氏の発言を激しく非難した。
ユン代表は聯合ニュースに対し、「橋下氏の向こう見ずな発言は日本による侵略戦争の犠牲者に対する侮辱だ」と言い、「橋下氏のような人物が影響力のある政治的リーダーとして注目を集める日本のような隣国を持つのは不幸だ」と話した。
橋下氏はまた、沖縄の在日米軍幹部に風俗業の活用を働きかけたことも明らかにした。大型連休中に米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を視察した際、米司令官に「もっと風俗業を活用してほしい」と求めたことを明らかにした。「司令官はもう凍りついたように苦笑いになってしまって、米軍では禁止だと言っている」と答えたという。13日の自らのコメントについて、橋下氏は14日、自身のツイッターで、「そんな建前みたいなことを言うからおかしくなる。法律の範囲内で認められている中でいわゆるそういう性的なエネルギーをある意味合法的に解消できる場所が日本にあるので、もっと真正面からそういうところを活用してもらわないと海兵隊のそんな猛者の性的なエネルギーをきちんと解消できないじゃないか」と伝えた。
在日米軍の幹部はジャパン・リアル・タイムの取材に対し、橋下氏の発言は「われわれが教授したい価値観にそぐわず、国防省の方針と米国の法律に反する」と述べた。
橋下氏は前大阪府知事で、昨年12月の衆院選では日本維新の会を率いて衆院で野党第二党に躍進した。しかし、自民党の大勝の陰で、日本維新の会に対する支持率は大いに低下した。読売新聞が13日に公表した調査では、今夏の参院選に向け、同党の支持率は8%、自民党支持率は47%となっている。
日本維新の会の石原慎太郎共同代表は14日、橋下氏の従軍慰安婦に関する発言をめぐって、同氏を擁護した。
共同通信の報道によると、石原氏は「軍と売春は付きもので、歴史の原理みたいなものだ。貧しい人たちが金をもうける一番チープな手段として昔からあった。決して好ましいことではないが、橋下氏は基本的に間違ったことは言っていない」と国会内で記者団に語った。