朝日新聞 2013/06/23
「アベノミクス政策に反対」「原発即時ゼロ」。選挙戦で自民党との違いを打ち出した共産党。東京・代々木の都委員会では、次々と候補者名に花がつけられた。議席の倍増が決まると、「やったー」と大きな拍手がわき、涙ぐむ人もいた。
志位和夫委員長は「第3党になり、大変うれしい。17議席は大変重い数。都政を動かす力を得た。公約実現のため、都政でも国政でも全力をあげたい」と語った。
7人が定数4を争った北区で議席を取り戻した曽根肇氏(61)は「『頼りになる党』として前進した。参院選にも良い影響があると思う」と話した。中野区で返り咲いた植木紘二氏(69)は「掲げた公約を実現したい」と意欲を見せた。
前回は、改選前の13議席から8議席に後退。今回は、8年ぶりに全42選挙区に候補者を擁立した。都議会で議案提出権のある11議席を目標においた。
護憲政党としての立場を強調し、従来民主などに流れた反自民票の取りこみを狙った。市田忠義書記局長は23日夜の記者会見で「原発政策、憲法を守り、暮らしに生かす共産党の姿勢が評価された」と語った。
低投票率も、固定層を持つ共産に有利に働いたとみられる。共産が都議会で過去最多の26議席をとったのは、投票率が過去最低の40・80%だった1997年。党関係者は「97年の状況に似てきた」と話していた。一方、当選候補の1人は「棄権する人が相当多かった。訴えが浸透しきらなかった点もあり、今後の課題だ」と語った。
猪瀬都政に向き合う姿勢でも、自公民や第三極との違いを打ち出した。候補者は都の公共事業などを批判し、「自公民も第三極もオール与党化した。共産は野党を貫く」とアピール。選挙戦の終盤、各選挙区で最後の議席を民主などと争っていると分析し、躍進への期待が高まっていた。