http://mainichi.jp/select/news/20130825k0000e040122000c.html
毎日新聞 2013年08月25日
がんになったために離職する割合は、パートなどの非正規雇用者が約6割で、正規雇用者の約4割を大きく上回る傾向であることが、NPO法人HOPEプロジェクト(桜井なおみ理事長)の調査で分かった。治療費への経済的負担感も非正規雇用者が正規雇用者より大きく、同NPOは「非正規雇用の人が増える中、雇用形態の違いによる健康格差、経済格差が深刻になっている。日本人の働き方は大きく変化しており、これに応じた対策が必要だ」と指摘している。
調査は6月にインターネットで実施し、がん経験者300人が回答した。この中で非正規雇用者(派遣社員、パート、アルバイト)の54人、正規雇用者の121人を分析した。
非正規のうち女性は83%を占め、正規(男性56%、女性44%)に比べて女性の割合が高かった。
がんと診断された後に「仕事が変わらなかった」との回答は、非正規は35%。一方、離職は、依願退職(22%)▽転職(18%)▽定年・早期退職など(6%)▽解雇(4%)で、非正規の場合に職場復帰が難しいとされる「休職」(7%)を加えると57%だった。
正規で「仕事が変わらなかった」の回答は53%。ほかは転職(12%)▽依願退職(7%)▽定年・早期退職など(4%)▽解雇(3%)−−など。
非正規のがんと診断される前の年収は300万円未満が約半分。治療費や交通費などを家計の負担と感じる割合は83%に上り、正規より27ポイント高かった。がんと診断される前に定期の健康診断を受けていた非正規は43%で、正規(72%)と大きな差があった。
総務省が7月に発表した就業構造基本調査(2012年)によると、役員を除く雇用者のうち非正規の従業員の割合は38・2%で、初めて2000万人を突破した。【下桐実雅子】