毎日新聞 2014年02月20日
厚生労働省は20日、毎年6月時点の賃金を調べる「賃金構造基本統計調査」の2013年分の結果を公表した。平均賃金は男女計で29万5700円(42歳、勤続11.9年)で、前年比0.7%減と4年ぶりに減少に転じた。性別では男性(42.8歳、勤続13.3年)が32万6000円で前年比0.9%減、女性(40.4歳、勤続9.1年)が23万2600円で同0.2%減となり、男女ともに前年を下回ったのは数字が比較できる1976年以来初めて。昨年6月時点という条件付きながら、アベノミクスの効果が賃金に及んでいない状況が浮かんだ。
調査対象は従業員10人以上の事業所で、全国4万9453事業所から13年6月分の賃金額の回答を得た。賃金は基本給と手当の額で、一時金や残業代は含んでいない。
企業規模別では大企業(従業員1000人以上)と中企業(同100〜999人)の賃金が下がり、小企業(同10〜99人)だけ1.2%増加した。一方、パートなど短時間労働者の時給は男性が1095円(前年比0.1%増)、女性が1007円(同0.6%増)と過去最高額を更新した。ただ定年となり雇用延長で働く60〜64歳の男性が1237円と各年代で一番高く、短時間労働者の賃金を押し上げているとみられる。
厚労省統計情報部は「小企業や非正規労働など賃金の低い仕事に就く人が増え、全体の賃金を押し下げたのでは」と分析している。14年春闘では労働側が非正規労働者などの賃金の底上げを訴え、政府も経済界に賃上げを要請している。【東海林智】