http://mainichi.jp/select/news/20150926k0000m040046000c.html
毎日新聞 2015年09月25日
携帯電話・OA機器販売会社「光通信」(東京都)に勤めていた男性(当時33歳)が突然死したのは過重労働が原因として、神戸市の両親が国に労災認定を求めた訴訟の控訴審判決が25日、大阪高裁であった。中村哲裁判長は過労死と認定した今年2月の1審・大阪地裁判決を支持し、国側の控訴を棄却した。
判決によると、男性は1999年に入社。出向した子会社で法人顧客のクレーム処理を担当していた2010年2月、虚血性心不全で死亡した。両親が池袋労働基準監督署に労災を申請したが、6カ月前までの残業時間が労災認定の目安となる月80時間に満たなかったなどとして認められなかった。
中村裁判長は1審と同様、男性の出退勤記録から死亡前の3年間の勤務状況を検討。その結果「恒常的な長時間労働で疲労が蓄積し、解消できなかった」として長時間の過重労働を認定し、虚血性心不全発症との因果関係があったと判断した。
判決後、両親らが記者会見し、母親(63)は「ほっとしている。判決文を仏壇に供え、報告したい」と話した。また弁護団は、両親が光通信に約1億6400万円の損害賠償を求め神戸地裁に提訴した訴訟は和解が成立したと明らかにした。24日付で、同社が解決金を支払い、男性の死亡に「遺憾の意」を表明するなどの内容という。
東京労働局労災補償課は控訴審判決について「関係機関と協議し対応する」、光通信広報部は「和解の経緯や内容についてはコメントを控える」とした。【堀江拓哉】