大企業の残業時間、公表義務付け厚労省が20 年メド

2017/5/18  日本経済新聞朝刊
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF17H09_X10C17A5MM8000/

厚生労働省は2020 年にも従業員の残業時間の公表を大企業に義務付ける。企業
は月当たりの平均残業時間を年1回開示するよう求められ、従わなければ処分を受
ける。それぞれの企業の労働実態を外部から見えやすくし、過度な長時間勤務を未
然に防ぐ狙いがある。職場の生産性を高める効果も期待されるが、負担が増す企業
側の反発も予想される。

新たな規制は労働法制では大企業とみなされる従業員数301 人以上の約1万5千
社が対象。従業員300 人以下の中小企業については罰則を伴わない「努力義務」に
とどめる方向だ。

対象企業は厚労省が企業情報をまとめたデータベースや企業のホームページで年
1回開示する。虚偽が疑われるような情報しか出さない企業にはまず行政指導を実
施。悪質な場合には最大20 万円のペナルティーを科す。正社員と非正規社員を分け
るかどうかなど詳細な仕組みの議論を労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で来年
始める。

残業時間を公表することで、企業が業界他社を互いに意識し合ったり、時間外労働
を減らす新たな動機づけになったりすると厚労省は見ている。学生が就職活動で企
業を選ぶ際の判断基準になるとも期待される。

企業にとっては労務管理の事務が増えることになり、労政審では経営側から慎重論
も出そう。残業時間を他社と並べて相対的に比べられることへの心理的な抵抗もあ
る。

従業員の平均値を年1回示すだけなので細かな労働実態をつかみにくい面もあり、
経営者の理解を得ながら実効性ある仕組みをつくれるかどうか問われる。

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