「いま、つながろう」「もう、ひとりじゃない」
セクハラのない社会を目指すMIC院内集会
日本マスコミ文化情報労組会議(M1C)は、4月15日、衆議院第一議員会館で「いま、つながろうセクハラのない社会へ」を開催し190人の参加がありました。
まず初めに南彰・MIC議長(新聞労連委員長)が挨拶。「2018年、財務省の事務次官(当時)による放送記者に対するセクハラが発生して1年。反省を踏まえ、法制度やILOのハラスメント禁止条約批准への後押しとなるよう議論したい」と呼びかけました。プログラムでは、発端となったメディア産業からの報告に続き、百貨店などの接客販売業界、介護の現場、議員や司法修習生、教育実習生に対する被害実例の報告がありました。
さまざまな職域に広がるセクハラ
顧客からのセクハラ問題について、埼玉大学経済学部の金井郁准教授は「顧客のストレス発散や女性従業員の人権を否定するかのような暴言があり、来店客と店員という立場や女性は奉仕する者などという従属性の押しつけや盗撮、つきまといなどの犯罪
行為がある」と特徴を語りました。
学生が教育実習に行き、「校長からセクハラを受けた」との相談がきっかけで教育実習生に対するセクハラを調べ始めた川村学園女子大学の内海崎貴子教授は「セクハラは実習期間中、事前ガイダンス、大学に戻ってきてからや事後指導など、あらゆる時期に受ける可能性がある。教育実習ができなかった場合、免許は取得できず教職に就けない。指導教員がセクハラ行為者の場合、実習生はそれを回避することはほぼ不可能だjと述べました。
また、LGBT法連合会の池田宏共同代表からは、SOGI(性的指向と性自認)に係わるハラスメントについて説明がありました。他人が、本人の同意無くSOGIを暴露するアウティングによって命に関わる大きな事件が起きたが、アウティングを規制する法律がないので、法整備の中にLGBTの人達の人権と命を守る内容もしっかりと盛り込むべきだ
と指摘しました。
事件から1年、社会は変わることができたのか
日本労働弁護団女性プロジェクトチーム座長の長谷川悠美弁護士は、2008年にセクハラホットラインを開設し、12年に働く女性のためのホットラインと変更したが、相談の内容ではセクハラが常に最多で件数が多いことを紹介。また、14年の広島中央保健生協マタハラ事件の最高裁判決(15年11月差戻し審判)後、マタハラ相談が2〜3倍に増加したことに関しては、被害は以前から存在したが「マタニティーハラスメント」という言葉と共に被害が顕在化したのではないか、と分析しました。
最後に、登壇者と参加者が共に「いま、つながろう」「もう、ひとりじゃない」と書かれた大判のカードを掲げ、セクハラのない社会を作ろうと訴えました(写真)。
(新聞労連及川しほ)
(2019年5月1日全国センター通信No.239(通巻249号)(働くもののいのちと健康を守る全国センター)1頁から転載)