韓国における働くもののいのちと健康を守る取り組み

  韓国の労働安全・職業病に関連する翻訳と講演録です。

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□脇田滋「韓国における雇用安全網関連の法令・資料(9) : 産業安全保健法改正の概要(危険の外注化原則禁止等)」
脇田滋「韓国における働くもののいのちと健康を守る取り組みの最近の動向」
『働くもののいのちと健康』2019年4月春季号
(目次)
 2018年は「産業安全」の一年
 社会問題化して30年
 労働災害職業病が深刻になっている
 産業安全保健法制定から民主化闘争へ
 安全保健運動の出発点?文松勉水銀中毒事件
 安全保健運動の出発点?源進二硫化炭素被害事件
 被災者・安全保健団体の連携
 経済危機から労働環境劣化へ
 労働安全保健団体
 パンオルリムが発足・サムソン電子白血病事件
 謝罪・補償・再発防止の3大争点
 過労死・過労自殺が社会問題化
 産災死亡の中86.5%が下請け労働者
 感情労働従事者権利保護センター設置
 「感情労働」従事者保護
 文在寅大統領の登場と産業安全
 産安法改正の主な内容
 韓国・労働安全保護運動から学ぶこと
 

 韓国・労働安全保護運動から学ぶこと
 日本と韓国には、労働安全保健問題において密接な関係があります。水銀中毒、水俣病も共通しています。源進レーヨンの二硫化炭素中毒の問題は、日韓協定締結の際に、独裁政権に近いグループが暗躍して日本から機械を輸入したのです。アスベスト問題でも、日本でアスベストが禁止されたあとに、日本アスベスト(現ニチアス)の機械が、韓国に輸出されています。
 運動面でも日韓において密接な交流が行われてきました。これまでは、日本で進んだ運動を韓国が学ぶという状況が多かったように思います。筋骨格系疾患、過労死防止法を韓国が日本から学び、森岡孝二さんの本『働きすぎの時代j も韓国語訳されています。今は、感情労働者の保護や「危険の外注化」を原則禁止にする産安法など韓国が進んで、きています。日本が大いに学んでいかなければなりません。
 韓国には、専門家と現場の共同型の粘り強い運動があります。源進事件は1988年のソウルオリンピックの時期に、外国マスコミの注目を集めて政府側が折れたと言われています。日本では、2020年の東京オリンピックがあります。チャンスです。
 また、幅広い市民・労働団体の連帯が安全保健問題を世論化し、さらに政治化するという非常に原則的な運動をしています。労働組合も企業の外と連帯することを重視しています。
 互いに大いに交流し、学びあっていきたいと思います。(わきたしげる)
 

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