大学生の内定率 面接解禁日の時点で7割超に
2019年6月7日 14時19分
来年春に卒業する大学生の就職内定率は、経団連のルールに沿って企業の採用面接が解禁された今月1日の時点で70%に達し、過去最高になったことが民間の調査で分かりました。
この調査は、人材サービス大手の「リクルートキャリア」が来年春に卒業する全国の大学生を対象に行い、1000人余りから回答を得ました。
それによりますと、経団連のルールに沿って企業の採用面接が解禁された今月1日の時点で、すでに内定を得た学生の割合は70.3%と、去年の同じ時期を2.2ポイント上回りました。この時期の内定率としては平成24年の調査開始以来、最も高いということです。
内定率を男女別に見ますと、男性が69.5%で、去年の同じ時期より1.2ポイント低くなった一方、女性は71.1%で、去年の同じ時期より6ポイント高くなりました。また、文系は67.8%、理系は76.1%となっています。
一方、今月1日時点で就職活動を続けている学生は57.3%と、去年の同じ時期より9.6ポイント減りました。これについて、リクルートキャリアは「ことしは10連休の影響もあり、就職活動のヤマ場が4月に前倒しになったことがうかがえる。学生優位の『売手市場』で、今後も企業側にとっては採用に苦戦する状況が続きそうだ」としています。
“就活ルール” 形骸化の指摘も
経団連が示す就職活動のルールについては企業側や専門家などの間で形骸化が進んでいるという指摘もあります。
情報サービス大手の「リクルートキャリア」の調査によりますと、ことし2月1日時点で来年春に卒業する大学生の内定率は去年の同じ時期と比べて1.3ポイント高い5.8%でした。
同じ調査で経団連のルールに沿って採用面接が解禁される1か月前にあたる先月1日の時点では内定率は51.4%、そして採用面接が解禁された今月1日の時点では70.3%にのぼっているからです。
高い内定率の背景には、経団連に加盟せずルールに縛られない外資系やIT系が優秀な人材を確保しようと採用を前倒しして進めたほか、ことしは10連休を前に内定を出す企業が増えたことがあります。
一方で、経団連のルールに沿って採用を行っている企業でもインターンシップを強化したり、秋採用や冬採用を行ったりして、優秀な学生との接点を増やす工夫も行っています。
経団連はことしでルールを廃止することを決めていて、今後は政府が主導する形でルールは維持されますが、人手不足を背景に企業間の人材獲得競争が激しくなっている中で、形骸化は一段と進むのではないかという見方も出ています。