過労死ライン超過116人 18年度、大分県知事部局
2019/6/12 6:00 西日本新聞 大分・日田玖珠版
〔グラフ〕知事部局の年度ごとの、過労死ライン超過人数
大分県の知事部局で2018年度に過労死ラインを超える時間外労働(残業)をした職員が延べ116人に上ることが、県への取材で分かった。九州豪雨や台風18号などの災害対応や復旧業務があった17年度からは35人減少したものの、毎年100人を超えている。県は死亡職員の公務災害認定を受けて働き方改革に取り組んでいるが、是正は道半ばだ。
厚生労働省によると、1カ月の残業時間が100時間か、2カ月‐6カ月の平均が80時間を「過労死ライン」として、労災認定基準と定めている。
県人事課によると、116人の部局別の主な内訳は、総務部66人▽土木建築部19人▽国民文化祭・障害者芸術文化祭局18人▽企画振興部10人など。最も残業が多かった職員は、国民文化祭・障害者芸術文化祭局の40代職員で月139・5時間(10月)だった。10月から約2カ月間開催された国民文化祭の準備や市町村との調整を担当していた。
知事部局の職員数は約3800人。過労死ラインを超える残業をしている職員は九州北部豪雨の災害対応にあたった12年度は217人。その後も毎年100人を超え、特に災害があった年度は過労死ラインを超える職員が多くなっている。
知事部局では、15年12月に観光・地域振興課の男性職員=当時(34)=が不整脈で死亡。直前4週間の残業は107時間で17年3月に公務災害と認定された。県は18年3月、長時間労働を防ぐため職員の負担軽減を図る行動指針を全職員に伝達するとともに、同8月からはパソコンの使用履歴を使った労働時間把握などの対策を定めた。同6月には福祉保健企画課の男性主事=当時(26)=が自殺。遺族は、過重労働が原因だったとして、公務災害認定を申請している。
県人事課は「業務の効率化や同僚への分担など職員の意識を啓発し、働き方改革を徹底していく」としている。