不適切営業を郵政認める 70歳以上被害多数 ノルマ課すメールなお (6/25)

不適切営業を郵政認める 70歳以上被害多数 ノルマ課すメールなお

2019/6/25 6:00 西日本新聞 一面
 
〔写真〕九州のある地区の統括郵便局長が各郵便局宛てに送ったメール。「実績ゼロで定時退庁ですか?」などと記している(写真の一部を加工しています)
 
 保険内容を理解できない高齢者に不十分な説明で契約を結ばせる‐。西日本新聞が繰り返し報じてきた郵便局員による不正営業問題は、日本郵政の長門正貢社長が陳謝する事態に発展した。再発防止のためには、営業ノルマを重視する「体質」の改善が急務となる。
 
 本紙が独自に入手した内部資料によると、全国の郵便局では2015年度以降、顧客に契約内容を説明しないなど保険業法違反に当たる営業行為が約70件、内規違反の不適正な営業は15〜17年度に約440件、勧誘に関する苦情も昨年までの約3年半で1万4千件超に上っていた。
 
 取材に対し、多くの郵便局員は「現実離れした重い営業ノルマが背景にある」と口をそろえる。
 
 保険を一度解約させ、同じ種類の保険を再契約させているとして今回問題になった保険の「乗り換え」も同様だ。郵便局内では「顧客の不利益につながるため、ニーズがない場合には勧めてはならない」と注意喚起していたが、実態は違った。内部では「転換類似」と呼ばれ、内部資料によると18年上半期には11万8千件に上り、前年同期比で約4万6千件も増えていた。
 
 中国地方の局員は「新規の顧客を開拓するのは難しい。ノルマをこなすには付き合いのある高齢者宅を訪問し、過去に結んだ契約を解約して新しい保険に乗り換えてもらうしかない」と打ち明ける。
 
 長門氏は24日の会見で、ノルマ廃止も含めた再発防止策を検討することにも言及した。昨年以降、年賀状や暑中・残暑見舞い用はがき「かもめ〜る」についても販売ノルマの廃止を打ち出したが、複数の局員からは「相変わらず無理な枚数を販売するよう求められている」との証言が多数寄せられている。
 
 数日前、九州のある地区内の郵便局には「(保険の)実績ゼロで定時退庁ですか? ありえません!(中略)全社員超勤3H(時間)で取組んで結果を出すこと!」というメールが送られていた。この地区の局員は「問題が起きるたびに改善のポーズをするだけで、体質が変わるとは思えない」と話す。
 
 

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