ファーストリテイリング アジア労働環境整備へILOと連携 (9/4)

ファーストリテイリング アジア労働環境整備へILOと連携
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190904/k10012062431000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_001
NHK News 2019年9月4日 6時20分

ユニクロを運営する「ファーストリテイリング」はILO=国際労働機関と連携し、工場があるアジアの国々で、労働者の環境整備に取り組むことになりました。各国政府に社会保障の充実などを働きかけ、現地で働く労働者の生活を安定させることで市場の拡大を目指します。

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長はインタビューに応じ、会社がILO=国際労働機関とパートナーシップ協定を締結したことを明らかにしました。

協定では、ファーストリテイリングが2年間で180万ドル、日本円でおよそ1億9000万円の資金をILOに拠出し、工場があるアジア各国の労働環境の改善に協力します。

まずインドネシアで、失業者の収入を保障する雇用保険制度の創設や、失業者がIT産業などに再就職するための職業訓練の充実を現地の政府に働きかけます。

このほか中国やベトナムなどアジアの7つの国で、それぞれの社会保障制度の整備状況を調査したうえで各国に労働環境の充実を働きかけるとしています。こうした取り組みを通じ、現地で働く労働者の生活を安定させ市場の拡大も目指します。

柳井会長兼社長は「アジアは雇用を生み出して発展しなければならないが、そのときの最初の産業は繊維や縫製、あるいは小売りのような労働集約的な産業だ。ILOと組んでその労働環境を本当によくしたい。世界で働く若い人、特に女性が、希望を持って勇気を持って仕事ができるような一助になりたい」と述べました。
ファーストリテイリング アジアに生産拠点
ファーストリテイリングは、ユニクロやジーユーなどのブランドを国内外のおよそ3400の店舗で展開しています。

このうち、グループの中核事業であるユニクロは、ニューヨークや上海など世界の主要都市に次々と進出し、現在は、20を超える国と地域に出店しています。去年8月期の決算でグループ全体の売上高はおよそ2兆1300億円に上り、この分野での売上規模は、スペインのZARAやスウェーデンのH&Mに次いで、世界3位となっています。

事業拡大に伴って、海外での生産拠点もアジアを中心に増やしていて、中国やベトナムなど10か国で、合わせて240の主要工場に委託して商品を生産しています。
ILO「労働者の生活を守ることにもつながる」
ILO=国際労働機関は、1919年に設立された労働者の労働条件や生活水準の改善を目的とする国連の機関で、本部はスイスのジュネーブに置かれています。

今回のファーストリテイリングとの協定の締結についてILOジャカルタ事務所は「このプロジェクトは、縫製産業で働く女性など産業構造の変化の影響を受けて失業する労働者に対し、雇用が伸びている産業への移行を支援するもので、労働者の家族の生活や子どもの教育を守ることにもつながる」とコメントしています。
 

この記事を書いた人