「給料上げてよ」ある保育士の悲痛な叫び 7年目で手取り12万円のリアル
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190915-00471160-okinawat-oki
9/15(日) 5:00配信 沖縄タイムス
「給料上げてよ」ある保育士の悲痛な叫び 7年目で手取り12万円のリアル
(資料写真)給与
〈沖縄の保育士のリアルな給料 自分は保育経験トータルで7年目12万6千354円(笑)〉。6月、県内の認可保育園で正職員として働く女性保育士のツイートがインターネットで話題を呼んだ。公開された給与明細の写真には月の総支給額17万1500円と、税金や給食費、駐車代などを引かれた手取り月12万6354円の数字が映る。県内で深刻さを増す保育士不足。その背景を追った。(社会部・篠原知恵)
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◆仕事を続けづらい環境
〈生活できません! 給料あげてよ〉〈#保育士辞めたい #私定時で帰ります #仕事辞めたい〉
女性保育士のツイートには、県内保育士から多くの同調の声が寄せられた。
「彼女一人の問題じゃない。生涯の仕事として、保育士を続けづらい環境があると思う」。ツイートに対し危機感を口にするのは、沖縄市内の認可園で働く男性保育士の通称みっちーせんせい(24)=本名非公表=だ。
ツイッターを中心に県内外で保育士仲間の輪を広げ、ツイートした女性を含めて悩みを抱える保育士の相談に乗っている。7月にはツイッターでアンケートも実施した。
〈この質問はタブーだと思いますが、10月の幼児教育・保育の無償化に掛かるお金の使い道はどれが優先だと考える? 〉
集まった4310票のうち「保育士の処遇改善」を選んだのは79%。「無償化」8%や「保育施設増設」10%を大きく上回った。
タブーと前置きしたのは、預かる子どもたちのことを最優先に考える保育士が「無償化より自分の給料を上げて」と言いづらいだろうと考えたから。それでも今、保育に携わる当事者が声を上げる必要性を強く感じている。
◆伝わっていない専門性の高さ
〈保育士辛かったら辞めていい。俺も1回保育士辞めてる。俺は俺みたいな人をもう見たくない。だから保育にまた戻ってきた〉。勤務する認可園の応援を受け活動するみっちーせんせい(24)の発言の場はツイッターだ。保育士5年目。別の園を1度辞めた経験も踏まえ、思いを等身大の言葉でつづる。
「子どもの命を預かり、成長を促す専門性の高さが社会に伝わっていないと感じる」。国基準に基づく保育士の給与等級では、勤続35年目でも手取りは月20万円を少し上回る額にとどまることも。仕事を続けながら子育てする未来は想像し難いと感じている。
保育士の仕事はきつい。シフト制の9時間勤務で、1時間の休憩を園児の昼寝時間に充てる園も少なくない。翌日の保育準備を自宅に持ち帰る先輩の姿も多数見てきた。
しかし周囲を見渡すと手取りが月15万円を下回る保育士は多い。一方で専門学校などで保育士の資格取得に要する費用は約250万円に上り、就職後、生活費捻出や奨学金返済に苦しむ若手保育士も目立つ。
◆保育士が誇れる業界に
こうした賃金面の問題に加えて、離職率が高く結婚や出産を機に戻らない人も多いため、新人とベテランをつなぐ中間層が少なく若手が孤立しがちだ。「多くの若手保育士は低い待遇を知った上で保育の道を選ぶ人もいる。でも、それほどの覚悟を折る業界の課題もある」
みっちーせんせいが改革の第一歩に描くのは、若手が気軽に集まり労働環境や現場の課題について情報交換する「保育士カフェ」をつくること。「保育士が仕事を誇れるような業界に変えたい。子どもたちの個性を育てる保育士は、本来はすごく楽しい仕事」
当事者が動かなければ状況は変わらないと考え、仲間を募る。ツイッターは「みっちーせんせい」で検索。