人手不足解消の取り組み、「賃金引上げ」がトップ
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観光経済新聞 2019年10月3日
帝国データバンクはこのほど、人手不足の解消に向けた企業の意識調査を行った。解消への取り組みは「賃金水準の引き上げ」がトップ。特に中小企業で回答率が高かった。
自社において、人手不足の解消へどのようなことに取り組んでいるのかを複数回答で聞いた。トップの「賃金―」は38.1%。以下、「職場内コミュニケーションの活性化」(36.7%)、「残業等の時間外労働の削減」(35.0%)、「業務プロセスの改善や工夫」(31.3%)、「賃金体系の整備」(29.5%)など。
企業の規模別に見ると、「賃金―」は中小企業が38.9%と、特に数値が高かった。
一方、大企業は34.9%と7位にとどまった。大企業は「残業等の時間外労働の削減」(47.9%)、「業務プロセスの改善や工夫」(39.6%)、「休暇取得の徹底」(39.0%)など、労働環境に関する取り組みが高い数値を示している。
人手不足の解消に向けて、社会全体としてどのようなことに取り組むべきかの問いでは(複数回答)、ハローワークなどの「職業紹介機能の強化・充実」が32.6%と最も多い回答。以下、「働き方改革の推進」(29.7%)、「社会保障制度の見直し」(26.9%)、「労働市場の流動化」(26.8%)、「通年採用の拡大」(25.5%)が続いた。
企業の中で人手が不足している部門・役割は、「生産現場に携わる従業員」が57.2%、「営業部門の従業員」が47.7%と上位。
自社で今後、どのような人材を最も積極的に活用したいかの問いでは、「シニア」が29.2%、「女性」が27.9%、「外国人」が13.7%と上位を占めた。「障害者」は1.1%にとどまった。このほか「分からない」が28.1%あった。
人手不足について、回答企業からの主な声は次の通り。
「同一労働同一賃金に向けた準備を始めているが、さらなる人件費アップがとても心配」(旅館、大阪府)。
「賃金の引き上げばかりだと中小企業の負担が増すだけで、経営がひっ迫してしまう」(印刷、埼玉県)。
「働き方改革を進めることにより不利になる業種があるので、特性を見極めた上で推進すべき」(一般貨物自動車運送、群馬県)。
「扶養家族の社員などが、働きたいのに103万円の壁に阻まれて働けない。最低賃金だけどんどん上げるので、労働時間が減ることになり人手不足の解消にならない」(段ボール箱製造、愛知県)。