石綿の損害賠償遅延金巡る訴訟、国は上告せず
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50877220R11C19A0CR0000/
日経新聞 2019/10/11 10:46
アスベスト(石綿)が原因の肺がん患者に国が支払う損害賠償の遅延損害金の算定基準日が争われた訴訟で、政府は11日、診断時にさかのぼって請求できるとの原告側主張を認めた9月の福岡高裁判決を受け入れ、上告しないことを決めた。同様の判断が示された地裁判決についても争わない。計5件の訴訟で国側敗訴が確定する。
加藤勝信厚生労働相が11日午前の閣議後会見で表明した。この日は福岡高裁判決の上告期限だった。加藤厚労相は今後の賠償金に関しても「今回のルールにのっとって遅延損害金の計算をしていく」と述べた。
遅延損害金は国が患者に支払う賠償金の利息に当たる。福岡高裁判決はがんの確定診断を受けた日を起算点とみなす判断を示した。国は労災認定の日が起算日だと主張していた。
神戸地裁や広島地裁などの4つの判決で同様の判断が示されており、うち2つで国は控訴を取り下げ、ほか2つについても控訴しない。