「週休3日」を試したら労働生産性が約40%向上…他にはどんな成果が? 日本マイクロソフトに聞いた (11/18)

「週休3日」を試したら労働生産性が約40%向上…他にはどんな成果が? 日本マイクロソフトに聞いた
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2019/11/18(月) 6:34配信 FNN.jpプライムオンライン

「週休3日」を試したら労働生産性が約40%向上…他にはどんな成果が? 日本マイクロソフトに聞いた
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「週勤4日、週休3日」を実施した結果を公表
労働時間の短縮や多様な就業形態の普及など、働き方改革が叫ばれる昨今。

企業や役所などでは、さまざまな取り組みが行われている。例えば姫路市役所では、「労働環境を快適にして仕事の効率を高めたい」と本庁舎内のエアコン設定温度を28℃から25℃に下げる“検証実験”を今夏に実施した。
(参考記事:“エアコン25℃設定”に効果あり…検証結果発表の姫路市役所「環境省から問い合わせありました)

【画像】社員の○%が高評価! 週休3日体制でどこまで変わった?

そのような中、今度は日本マイクロソフトが興味深い結果を公表した。8月に行なった「週勤4日、週休3日」の試みによって、「労働生産性」が向上し“会議の時間も大幅に減った”というのだ。

日本マイクロソフトは、働き方改革の一環として、およそ2300人の全社員を対象にことし8月の1カ月間、“金曜日を休みにして週休3日とする”試みを実施。

その結果が10月31日に公表された。それによると、“30分以内で終わる会議”が去年の8月に比べて、46%増えたというのだ。

その他にも、1カ月の売り上げを社員数で割った「労働生産性」は39.9%向上、リモート(遠隔)で会議を実施する割合は21%増加。

さらに、3年前の同じ時期と比べ、印刷枚数は58.7%、電力消費量が23.1%減少し、コスト削減にもつながっている。

さらにアンケートでは、社員の92.1%が今回の試みを「評価する」と答えた一方、自由記入式のアンケートでは、「苦情や不満」といった否定的な意見も10.6%、寄せられていることが分かっている。

苦情や不満は、たとえば、「お客様が休みではない金曜日に休みにくい」「業務量は変わらず、勤務日だけ減るので、さらに忙しかった」といった声があったのだという。

おおむね社員に好評だったという「週勤4日、週休3日」。でもなぜ、労働生産性が約4割も向上する結果となったのだろうか? 日本マイクロソフトの担当者に聞いた。

「週勤4日、週休3日」を実施した理由はさらなる業務の効率化
――8月の1カ月間、「週勤4日、週休3日」を実施した理由は?

この試みは「休みを増やすための取り組み」ではなく、全社員を「1日業務が少ない状況」にすることで、さらなる業務効率化を促す狙いがあります。

1日少ない業務時間でもビジネスゴールやお客様に支障がないように各社員が期間中に工夫したこと、心がけたことを、週勤5日に戻ってからの日々の業務でも継続して、活かしてもらうための取り組みです。

会議とメールの効率化で労働生産性が向上
――「労働生産性」が向上した理由として考えられることは?

短い時間でより効率よく働くために、社員一人一人がどうすべきかを考えアクションした結果ですので理由は1つではありませんが、とくに大きな理由が「会議の効率化」にあったと考えています。

当社(日本マイクロソフト)と、他の国々のマイクロソフトの働き方を様々な観点で比較・検証したところ、“会議の時間が17%長く”、“会議の参加者が11%多い”ことや、“社員がメールにかけている時間が24%長く”、“メールの宛先に入れている人数が31%多い”ことが分かりました。

これらを積み上げると、日本マイクロソフトの社員は、他の国々のマイクロソフトの社員の平均よりも、1週間に4時間、1年間に25日も多く働いていたのです。

そのため、とくにメールと会議を効率化する余地が大きいと考えて、会議は30分間を基本で設定、会議の参加人数は多くても5名まで、また、そもそも会議を招集しなくても、もしくはメールをやり取りしなくても、当社のコラボレーションツール「Microsoft Teams」のチャットだけで要件を済ませたり、1か所に集まるのではなくTeamsのオンライン会議機能を使うなどすれば、さらに効率化するのではと広く社内に呼びかけました。

その結果、30分会議の実施比率が46%増え、リモート会議の実施比率が21%増えたという結果が出ました。

こうした、社員一人一人による、「会議やコミュニケーション方法の見直し」が、労働生産性の向上に寄与したものと考えています。

充実した休みのために、社員は業務効率化に取り組む
――今回の結果を受けて、気付いたことは?

「社員は“多様な働き方”を求めていること」、「多様な働き方の実現には“ワークライフチョイス”が有効であること」、「全社一斉のチャレンジが、業務効率化の新たなモチベーションになること」です。

つまり“充実した休み”や“学びの実現”のために、社員がさらなる業務効率化に取り組むことも分かりました。

――今回の結果を受けて、浮かび上がった課題は?

以下の3つです。

・有効活用できた社員・部署と、うまくいかなかった社員・部署のギャップ
・いまだに一部のマネージャーや部門で、働き方の多様性に理解が不足している
・「お客様の迷惑にならないか」という意見と「お客様にもこのチャレンジを共有しよう」という意見の対立

なお、日本マイクロソフトは「週勤4日、週休3日」を定着させる可能性はないと話しており、今後は社員一人一人の業務効率化へのモチベーションがポイントとなりそうだ。

今回の結果を踏まえ、同社はこの冬、「ワークライフチョイス チャレンジ2019冬」を実施する予定。

“夏”は、会社が「週勤4日週休3日」を設定し、社員はその環境下でチャレンジしたのに対し、“冬”は「週勤4日週休3日」という設定はなく、社員自身が有給休暇や年末年始休暇などと組み合わせて、主体的・自律的に、多様な働き方にチャレンジすることになるのだという。

働き方へのニーズは、育児や介護など各々のライフステージによっても変わってくるだろう。このように選べる形が、社員は1番うれしいかもしれない。
 

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