「教員の勤務時間」把握の市区町村は半数以下 働き方改革へ文科省調査
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191225-00000054-mai-life
毎日新聞 2019/12/25(水) 17:42配信
〔写真〕文部科学省=東京都千代田区で、長谷川直亮撮影
タイムカードなどで勤務時間を客観的に把握している学校がある市区町村は47・4%と半数以下にとどまることが25日、文部科学省が発表した調査結果(2019年7月時点)で明らかになった。教員の働き方改革の一環で21年度から勤務時間を年単位で調整する変形労働時間制が導入できるようになるが、勤務時間の客観的な把握が前提のため、文科省は取り組みが遅れている自治体に改善を求める。
◇変形労働時間制導入に向け文科省が改善指導へ
今月成立した改正教職員給与特別措置法(給特法)により自治体の判断で変形労働時間制が導入でき、児童生徒の夏休み中などに休日のまとめ取りが可能になる。
調査によると、管轄する学校で勤務時間を客観的に把握している学校があると回答したのは、都道府県で66・0%(前年度比27・7ポイント増)▽政令市で75・0%(同30・0ポイント増)▽市区町村で47・4%(同6・9ポイント増)――といずれも前年度より増加した。文科省が19年1月、残業時間を月45時間以下などとするガイドラインを示したことが影響したとみられる。
客観的に把握している学校があると答えた都道府県・政令市・市区町村のうちガイドラインで示した月45時間以下の残業時間が守られていた割合(19年6月時点)は、小学校46・7%(同6・7ポイント増)▽中学校33・3%(同5・3ポイント増)▽高校50・2%(同4・8ポイント増)だった。【水戸健一、千脇康平】
◇群馬で「自動記録システム」も「予算の壁」や「業務量が減らなければ…」
長時間労働の是正に向け教育現場では模索が続く。群馬県では、出勤後にパソコンを起動すると開始時間と前日の終了時間が自動的に記録されるシステムを2018年度から県下で本格導入した。
県教委によると、公立の小中学校計36校、高校・特別支援学校全84校で実施した19年10月の調査では、過労死ラインとされる月80時間超の時間外勤務の教員の割合は前年同期に比べ、小学校7・5%↓3・1%▽中学校38・1%↓19%▽高校18・6%↓7・7%――と減少した。会議時間の見直しなど要因は複合的だが、担当者は「勤務時間を可視化し、個々で業務の改善に生かすことがシステム導入の本来の目的。教職員の意識改革にはつながっている」と手応えを口にする。鳥取県でもパソコンで出退勤時刻が自動記録されるシステムを17年12月に全市町村の小中学校で導入したこともあり、導入後、1人あたりの平均残業時間が小中学校とも約1割減った。
ただ、システム導入には予算の壁がある。勤務時間の客観的な把握ができている市町村が28・2%と低い奈良県の県教委担当者は「働き方改革には部活動指導員やスクール・サポート・スタッフの活用など多くの方法がある。校舎の耐震化やトイレの洋式化などの課題もあり、どこにお金をかけるかは各市町村の判断。足並みをそろえて、とはなかなかいかない」と打ち明ける。
一方、首都圏の公立高校に勤める30代の男性教諭は「業務量が減らなければ意味はない」と客観的な把握の効果には懐疑的だ。勤務校では出退勤時間をパソコンに打ち込む自己申告制だが、実際に働いた時間ではなく管理職からの“指導”が入らない程度の時間に収めて申告している。「業務量が減れば授業の準備をより充実できるし、休む時間とのバランスも取れる。それが本当の改革では」と訴える。【千脇康平】
在校時間、約1割が「把握せず」 教員の働き方改革で初調査―文科省
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019122500714&g=soc
時事通信 2019年12月25日17時17分
文部科学省は25日、公立学校における働き方改革の取り組み状況について初めての調査結果を発表した。全国1788教育委員会のうち、教員の在校時間を「把握していない」と回答したのは、都道府県で10.6%、政令市を除く市区町村で13.2%に上った。
各教委の7月1日時点の取り組み状況を調べた。それによると、教員の在校時間を「把握していない」と回答したのは、都道府県が5教委、市区町村が228教委。
「在校時間を把握していない」と答えた市区町村教委の割合は、奈良県(38.5%)、北海道(38.2%)、神奈川県(36.7%)の順で高かった。