中途採用比率の公表義務化 3年4月から大企業に
https://www.sankei.com/life/news/191230/lif1912300004-n1.html
産経新聞 2019.12.30 05:00
政府が全世代型社会保障改革の一環として行う雇用制度改革の詳細が29日、分かった。令和3年4月から従業員301人以上の大企業に、中途採用の比率公表を義務付ける方針だ。同年10月からは70歳までの就業機会を作るよう、企業に努力義務を課す高齢者就業支援を実施する。来年1月召集の通常国会に労働施策総合推進法や高年齢者雇用安定法などの改正案を提出し、成立を目指す。
中途採用比率の公表義務化は、求職者と企業側のマッチングを促す効果が期待できる。大企業に伝統的に残る新卒一括採用が中心の採用制度を見直し、就職氷河期世代や高齢者らの中途採用に加え、経験者採用の拡大を図る狙いがある。
公表義務を課す対象は、企業規模が大きくなるにつれて中途採用の比率が減少する実態を踏まえ、従業員301人以上の大企業のみとする。企業のホームページなどでの開示を求める。実績が分かるように、直近3年分の比率を公表させる方向で検討している。
「中高年層の中途採用・経験者採用比率」「管理職の中途採用・経験者採用比率」なども公表できる仕組みにする。
政府は高齢化に伴う社会保障費の増大と現役世代の減少に対応するため、社会保障の「支え手」を増やす取り組みを進めており、中途採用を広げることで長期的な雇用を確保したい考えだ。
一方、70歳までの就業機会の確保については、企業に対し、(1)雇用による支援として、定年廃止や70歳までの定年延長、他社への再就職の実現(2)雇用以外の支援として、定年後または65歳までの継続雇用終了後にフリーランスや起業した人との間で70歳まで業務委託契約を締結する−などを求める方針だ。将来的にはこれらを義務化する見通し。現行法では、希望する人全員を65歳まで雇用するよう義務付けている。
このほか、現役時代に比べて賃金が大幅に下がった60〜64歳の高齢者に穴埋めとして支給する「高年齢雇用継続給付」を7年度から段階的に縮小する。次期通常国会に雇用保険法改正案を提出する。