2019 職場のたたかい (12/31)

2019 職場のたたかい
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しんぶん赤旗 2019年12月31日(火)

雇用の安定で前進
2019年も、労働者のたたかいで要求が前進しました。本紙報道で振り返ります。

(写真)非常勤職員の3年での無期雇用転換を実現した全医労の人たち

 日本郵便では、期間雇用社員が起こした差別是正訴訟で、大阪高裁が手当や休暇で正社員との不合理な格差を認めました。

3年で無期雇用
有期で5年継続雇用された人の無期雇用転換では、国立病院で1万人以上いる非常勤職員について、3年での無期転換が実現。「安心して働けることがいい医療につながる」と全日本国立医療労組が病院機構と団体交渉を重ねて合意しました。

 東京大学では、研究者について無期転換を10年に先延ばしする法律の特例が非常勤講師約2800人に適用されていましたが、労働組合のたたかいで撤回させました。

勤務間休息保障
「働き方改革」法で努力義務どまりの「勤務間インターバル」(次の勤務までの休息保障)について、エフコープ生活協同組合が11時間を保障する制度を4月から導入。労使で「職員が健康に働き続けられてこそいいサービスができる」と合意したものです。

労働者と認める
安倍内閣が労働法で保護されない人を増やそうとするなか、NHK受信料集金の委託契約労働者について、東京高裁が労組法上の労働者だと認め、全日本放送受信料労組との団体交渉を命じる判決を勝ち取りました。

非正規切り解決
日産自動車など「非正規切り」撤回争議では、JMITU(日本金属製造情報通信労組)神奈川地本が両社と和解。10年に及ぶ不屈のたたかいで全面解決を果たしました。

国と企業の責任
九州建設アスベスト(石綿)訴訟で、福岡高裁が国と企業の責任や「一人親方」への賠償を認定。国と企業の責任を認める流れが定着しており、全面解決の力となるものです。


本紙報道から振り返る 2019年 職場のたたかい進む

しんぶん赤旗 2019年12月31日

 2019年も職場のたたかいが前進しました。本紙報道から振り返ります。

正社員との格差是正 1月
■1月
帝産湖南交通(滋賀) 取材に応じた労組委員長の懲戒処分取り消し訴訟で、最高裁が会社側の上告棄却。処分を無効とした大阪高裁判決が確定。

 日本郵便(東京) 期間雇用社員の手当、休暇について正社員との格差是正を命じる大阪高裁判決。

 旧富士重工業(現SUBARU、東京) 群馬工場の男性社員自殺は長時間労働などが原因として太田労基署が昨年8月に労災認定したことが判明。3421人に計約7億7600万円の未払い残業代を支払う。

 東京大学 非常勤講師2800人の無期雇用転換の条件を雇用継続5年から10年に先延ばしする制度を撤回。

 大阪市 市役所労組に対する市の団体交渉拒否は不当労働行為と府労委が認定。

 埼玉県森林組合連合会 解雇された女性に懲戒事由がなく、賞与約421万円などを支払うよう東京高裁が判決。

 奈良学園大学(奈良) 教職員組合員の解雇・雇い止めは不当労働行為と申し立てた事件で、県労委が一部救済命令。

■2月
住重フォージング(神奈川) 住友重機械工業の出向社員の自殺未遂は長時間残業による精神疾患が原因として、横須賀労基署が18年10月に労災認定していたことが判明。

 旧大阪医科大学(現大阪医科薬科大学、大阪) 研究室秘書で非正規職員の女性が正職員との格差是正を求めた裁判で、大阪高裁が大学に約109万円の支払いを命じる逆転勝訴判決。

 メトロコマース(東京) 契約社員の女性4人が正社員との賃金格差是正を求めた訴訟で、東京高裁が住宅手当、退職金などの一部について支払い命令。

 淑徳大学(東京) 学部閉鎖を理由にした教員解雇で淑徳大学の団体交渉拒否は不当労働行為と東京地裁が判決。団交に応じるよう緊急命令。

■3月
東京消防庁福生消防署(東京) 男性職員の自殺は加重負担が原因の公務災害と東京地裁が判決。補償基金支部長の不認定処分を取り消す。

 大林組(東京) ラオス赴任の水力発電所建設工事長が長時間労働で過労死し、三田労基署が労災認定。

 ハートフル記念会(神奈川) 福祉保育労分会長の職員に対する懲戒解雇は無効と横浜地裁判決。9月に3年4カ月ぶり職場復帰。

 明海大学(千葉) 労働組合役員を務めた教授が懲戒解雇され退職金不支給とされた事件で、東京地裁立川支部が解雇は無効として大学側に支払いを命じる判決。

 KDDI 20代社員が長時間労働で自殺し、労基署から18年5月に労災認定されていたと発表。サービス残業是正勧告も受ける。17年にも是正勧告を受け、4613人に約6億7000万円を支払ったことも公表。

「勤務間休息」を導入 4月
■4月
エフコープ生活協同組合(福岡) 次の勤務まで11時間以上の休息をとる「勤務間インターバル」を4月から導入。「働き方改革」一括法で「努力義務」とされたが、労使協議で実現。

 国立病院(機構) 非常勤職員の無期雇用転換の資格について雇用継続5年の法律規定を3年に前倒し。全日本国立医療労組が交渉を重ね実現。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)(茨城) 温室効果ガス観測衛星「いぶき」の管制業務従事の男性が、長時間夜勤やパワハラで過労自殺し土浦労基署が労災認定。エスシーシーからグループ企業・宇宙技術開発に出向し業務に従事。

 大手芸能事務所アミューズ(東京)、吉本興業(大阪) 休日割増賃金について労基署が昨年、是正勧告したことが判明。アミューズは1カ月休日なしの従業員も。吉本興業は休日労働の割増賃金を十分払わず。

 マッドハウス(東京) 男性社員に長時間残業をさせ残業代も不払いとして、アニメ制作会社に新宿労基署が是正勧告。

 KBS京都放送(京都) 派遣契約から3年で直接雇用した労働者をさらに5年雇用継続で無期雇用転換することで労使合意。

■5月
庄内町(山形) 臨時職員3人が不払い賃金を2年間さかのぼり支払わせる。鶴岡地域ユニオンに加入し、団体交渉で実現。

 NHK(東京) NHK受信料集金の委託契約で働く地域スタッフは労働組合法上の労働者であり、団体交渉拒否は不当労働行為と東京高裁が認定。全日本放送受信料労組への団交拒否事件。

 大阪市内のレストラン 調理師の男性が心不全で死亡したのは長時間の過重な業務が原因だとして、大阪地裁が労災認定。労基署の遺族補償不支給処分を取り消す。

 気仙沼市・女川町(宮城) 仮設住宅解体工事作業員が、労務費不払いで県労連に相談。日本共産党県議団と連携し全額支払わせる。

 ANAクラウンプラザホテル新潟(新潟) 40代女性社員が長時間残業で適応障害になったとして、新潟労基署が労災認定。

 淑徳大学(東京) 学部閉鎖を理由に教授3人を解雇した事件で、東京地裁が解雇は無効とする判決。

 ミナミのホストクラブ(大阪) 急性アルコール中毒死の男性ホストを大阪地裁が労災認定。労災保険の遺族補償不支給処分を取り消す。

 中国地方の総合病院 50代の産婦人科男性医師の自殺は長時間労働などによるうつ病発症が原因と広島地裁が労災認定。遺族補償不支給処分を取り消す。

■6月
埼玉アスベスト訴訟 太平洋セメント(旧秩父セメント)や下請け企業の元労働者遺族が国と和解。リソルホールディングス株式会社(旧日本エタニットパイプ)の元労働者の遺族が会社に慰謝料などを求めていた事件も高裁で和解。

 アスベスト被害(兵庫) 元工場労働者2人の遺族が、被害救済に必要な労災記録の開示を求めた訴訟で、兵庫労働局の不開示決定を大阪地裁が取り消す判決。

 名古屋芸術大学(愛知) 教職員組合委員長と副委員長の解雇撤回訴訟で、原職復帰などで名古屋地裁で和解。

 山梨学院大学(山梨) 非常勤講師の定年を70歳から65歳へ引き下げ、定年超過者を雇い止めする問題で、就業規則制定手続きが労基法違反として甲府労基署が是正勧告していたことが判明。

 ヤマト運輸(熊本) 男性運転手のくも膜下出血死亡は過労が原因と熊本地裁が労災認定。遺族補償不支給処分を取り消す。

 東京電力(福島) 福島第1原発事故直後の緊急作業で高線量被ばくをした男性作業員(53)の損害賠償訴訟で、福島地裁いわき支部が東電に33万円の支払いを命令。

 楽天(東京) 元社員が両手足のまひなどの後遺症を負ったのは上司による暴行のパワハラ行為が原因だとして、渋谷労基署が労災認定。

団交に応じよと命令 8月
■7月
ライト工業(東京) 男性社員の自殺は、月100時間超の残業による精神疾患が原因だとして、向島労基署が労災認定。

 若狭町(福井) 町立中学校教諭の過労自殺で父親が県と町に損害賠償を求めた訴訟で、福井地裁が約6500万円の支払いを命じる判決。

 ライフサポート・エガワ(東京) 男性トラック運転手の勤務中死亡は月100時間超の残業が原因だとして川口労基署が労災認定。勤務先と関連会社の2社の残業時間を合算して認定。

 東京海上日動火災保険(東京) 来年1月から、営業や保険料支払い担当の約1500人を裁量労働制から外すことが判明。適用業務に該当せず、違法となる恐れがあると労基署が指導。

■8月
淑徳大学(東京) 学部閉鎖を理由にした教員解雇で、淑徳大学の団体交渉拒否は不当労働行為と東京高裁が判決。団交に応じるよう緊急命令。

 日産自動車・日産車体(神奈川) 「非正規切り」された5人が雇い止め撤回などを求めた争議で、JMITU(日本金属製造情報通信労組)神奈川地方本部が中央労働委員会で両社と和解。

 KLMオランダ航空 5年無期転換逃れの雇い止めを東京地裁が無効とする判決。日本人客室乗務員3人が訓練期間を含めれば5年を超過していたと労働審判を申し立てていた事件。

 明海大学(千葉、埼玉) 教職員組合の希望する場所での団体交渉開催を拒否し、教員あて組合ニュースを回収した事件で、都労委が不当労働行為・支配加入と認定。「行為を繰り返さない」との誓約文書の掲示も命令。

 ユーコーコミュニティー(神奈川) 塗装会社の元女性社員2人が入社7カ月でうつ病を発症したのは過大なノルマや長時間労働、セクハラが原因だとして二つの労基署が労災認定。

■9月
日立製作所(東京) 外国人技能実習生に対して認定計画にない作業をさせ、技能実習適正化法に違反したとして、出入国在留管理庁と厚生労働省が改善命令。

 北海道社会事業協会(北海道) HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染を申告しなかったとして就職内定を取り消された社会福祉士の損害賠償訴訟で、札幌地裁が165万円の支払いを命令。法人は控訴せず確定。

 明海大学(千葉) 労組役員を務めた教授が懲戒解雇・退職金不支給とされた事件で、解雇撤回と名誉回復措置をとることで東京高裁で和解。

 アスベスト訴訟(大阪) アスベストを入れていた麻袋の再生工場で働き、関連疾患で死亡した4人の遺族による損害賠償訴訟が、大阪地裁で和解。国が5720万円を支払う。

 トヨタ自動車(愛知) 若手男性社員の自殺は上司の暴言などパワハラが原因だとして、豊田労基署が労災認定。

国と企業の責任認定 11月
■10月
かやば薬局(宮城) 労組結成後に整理解雇された労働者4人が解雇無効を求めた労働審判で、解雇無効と解決金330万円を支払う審判が確定。

■11月
福島市環境サービス協業組合(福島) 福島市から委託されている廃棄物処理業者に対し、県労委が労組との団体交渉を命令。

 九州建設アスベスト訴訟 労働者や遺族54人の損害賠償訴訟で福岡高裁が、国と企業の責任や個人事業主「一人親方」への賠償を認定。国と企業4社に3億4718万円余の賠償命令。

 東北大学(宮城) 非正規職員を大量雇い止めした問題に関連し、県労委が大学側の不当労働行為を認定し、団交に誠実に応じるよう命令。

 三菱電機(兵庫) 自殺した新入社員に対する自殺教唆の疑いで、教育主任だった男性社員が神戸地検に書類送検される。

 リープヘル・ジャパン(神奈川) 過労死した男性社員の遺族が労災認定を求めた事件で、神奈川労災保険審査官が労災認定。鶴見労基署の不支給処分を取り消す。

 山陽新聞社(岡山) 会社方針に反対した山陽新聞労組委員長ら2人の異職種配転事件で、県労委が不当労働行為と認め、救済命令。不当労働行為を繰り返さない誓約書の提出も命じる。

■12月
電通(東京) 最長で月156時間もの違法な残業をさせるなど労基法違反で三田労基署が是正勧告。

 セブン―イレブン・ジャパン アルバイトやパート従業員らの残業代、約4億9000万円が未払いだったと発表。1974年から続いていた可能性も。労基署から指摘を受け判明。

 明泉学園(東京) 私立鶴川高校の元常勤講師が、専任教諭と同一の賃金を受け取る権利があるとして差額支払いを求めた訴訟で、東京地裁が学校法人に約958万円の支払いを命じる判決。

 プラネットシーアール(長崎) 男性広告デザイナーが上司のパワハラと長時間労働で適応障害となり休職に追い込まれたとする損害賠償訴訟で、会社が慰謝料2000万円を支払うことなどで福岡高裁で和解。

 総務省(東京) 総務省キャリア公務員の男性(31)が長時間労働による過労死と公務災害認定。消費税にかかわる業務を担当し、100時間を超える残業で14年3月に自殺。

 新潟県立新発田病院(新潟) 医師43人に労使協定を超える長時間労働をさせたとして新発田労基署が是正勧告。最長は月146時間。

 

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