佐賀県民の「普通の暮らし」には時給1600円以上必要 労組が試算
https://mainichi.jp/articles/20200108/k00/00m/020/018000c
毎日新聞2020年1月8日 09時30分(最終更新 1月8日 09時30分)
各種労働組合でつくる佐賀県労働組合総連合は、県内で平均的な暮らしをするためには「時給1600円以上の賃金が必要」とする初めての試算結果を発表した。主に県労連に加盟する10〜30代の一人暮らしの労働者111人分のアンケート結果を分析した。
県労連は静岡県立大短期大学部の中沢秀一准教授(社会保障論)と合同で、2019年4〜9月にアンケートを実施。生活実態と生活必需品を聞き、805人から回答を得た(回収率約31%)。
回答のうち111人分を佐賀市内での物価を踏まえて分析した結果、若者が家賃3万4500円のワンルームマンション(アパート)に住む、中古自動車を持つなど「普通の暮らし」をするためには、月収で男性約24万2000円、女性約24万2700円が必要との結果が出た。平均年収では約290万円(税金、社会保険料込み)、ワークライフバランスに配慮した月150時間の労働時間に換算すると、時給1600円以上が必要だと指摘した。
19年10月に改定された県の最低賃金は時給790円で全国最低。県労連は「1日8時間勤務だと、税金などを差し引くと可処分所得は月額約10万円。国の貧困ラインを下回る可能性がある」と分析。「地方は都市より物価が低いという常識が否定された。最低賃金を全国一律で1500円以上に引き上げる必要がある」としている。
佐賀県は他の地域に比べて家賃相場が高く、車の走行距離が長いといった特徴があるという。福岡市でも同じ調査をした結果、必要な月収は男性約22万7500円、女性約23万6600円と佐賀より低い結果だった。【関東晋慈】