日本型雇用システムの見直し明確に 経団連が春闘に向け指針
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NHK News 2020年1月21日 16時44分
経団連は、ことしの春闘に向けた経営側の指針を正式に発表しました。新卒一括採用や終身雇用、年功型賃金など、戦後、長く続いてきた日本型雇用システムが「時代に合わないケースが増えている」として見直すよう促しました。
これは、21日、経団連で労働政策を担当する大橋徹二副会長が記者会見して発表しました。
今回の指針は、新卒一括採用や終身雇用、それに年功型賃金など、戦後、長く続いてきた日本型雇用システムの見直しを明確に打ち出したのが特徴です。
指針では、日本型雇用システムについて長期的な人材育成や計画的な採用などでメリットがあったとする一方、企業活動のグローバル化やデジタル化など経営環境が変化する中で、「必ずしも時代に合わないケースが増えている」と指摘しました。
そのうえで、海外の優秀な人材や意欲のある若手社員を確保するためにも、中途採用や通年採用の拡大や、年齢や勤続年数ではなく仕事の成果をより重視した昇給制度を検討するよう呼びかけています。
また今回の指針では、基本給を引き上げるベースアップを「選択肢となり得る」として、賃上げに前向きな姿勢を示しました。ただ、引き上げにあたっては、一律に行うのではなく、業務の内容や成果に応じて重点的に配分する方法も検討すべきだとしています。
ことしの春闘は、今月28日に行われる予定の経団連と連合とのトップ会談で事実上スタートしますが、賃金の水準だけでなく、雇用制度そのものをどう見直すかを巡っても労使間で議論が交わされることになりそうです。
大橋副会長「今までの流れだけでは難しく」
日本型雇用システムについて経団連の大橋副会長は記者会見で、「春の定期採用や、定年までの長期雇用、年功序列的な賃金体系は日本の成長を支えてきたし、海外に比べて若年労働者の雇用率が高いという意味でも、いい制度であることは間違いない。その一方で、デジタル化やグローバル化が進み、業界と業界、業種と業種の境目がどんどん無くなり、変化が激しくなっている中では今までの流れだけでは難しくなってきているのも事実だ」と指摘しました。
そのうえで大橋副会長は「雇用システムの見直しは、今回の春闘だけでなく年間を通じて、労使で議論する項目だ」と述べ労使間で継続して議論すべきだという認識を示しました。