自動車大手労組、「ベア額示さず」拡大 春闘要求書出そろう
https://mainichi.jp/articles/20200212/k00/00m/020/249000c
毎日新聞2020年2月12日 21時20分(最終更新 2月12日 23時00分)
〔写真〕トヨタ自動車本社=愛知県豊田市本町で、本社ヘリから兵藤公治撮影
自動車大手の労働組合は12日、経営側に春闘の要求書を提出し、2020年の労使交渉がスタートした。全従業員の賃金水準を引き上げるベースアップ(ベア)について、トヨタ自動車とマツダは昨年に続いて具体的な額を示さず、SUBARU(スバル)も具体額を公表しなかった。業界横並びの交渉スタイルが変化する中、3月11日の集中回答日に向けて交渉が本格化する。
トヨタ自動車労働組合は12日、ベアに相当する賃金改善分や定期昇給分などを含めた総額で全組合員1人平均1万100円の賃上げを求める要求書を会社側に提出した。5段階の人事評価に応じて従来よりもベアの額に差をつける仕組みの導入を盛り込んだ。要求書を受け取ったトヨタの河合満副社長は「これまでの慣習にとらわれず、課題を解決していく場としなければならない」と述べた。
20年春闘では、三菱UFJ銀行労働組合が、人事評価によって賃上げ率が異なる仕組みの導入を容認する方針。業種を超えて、成果主義の枠組みが広がりつつある。
ホンダはベア1000円に独自の「チャレンジ加算制度」を拡充させる、1人平均2000円の賃金引き上げを要求した。ベアの具体額を公表しなかったマツダ、スバルの労組は、総額で1人平均9000円。日産自動車労組の要求は、ベア相当の3000円を含む総額で1人平均9000円だった。
自動車メーカーなどの労組でつくる自動車総連は、19年春闘からベアの統一要求を見送っている。上げ幅だけでなく、毎月の賃金の絶対水準を重視することで、大企業と中小企業との間の賃金格差を是正するためだ。高倉明会長は「この流れを加速させたい」と話す。
電機メーカーなどの労働組合で構成する電機連合では、13日に多くの傘下労組が経営側に要求書を提出する。【小坂剛志、田口雅士】