5月22日の朝日新聞1面トップはトヨタが今まで、利潤の一部(それは莫大な利潤を生んできた)カイゼン活動を業務に認定し残業代を払うことにしたという、トヨタの労働者にとっては嬉しいことを報道しています。ところが記者の書き方に問題があるのか分かりませんが、この改善を「労働組合も了承しており、6月1日から実施する」と書いています。
今まで労働と認められなかった仕事が、賃金の支払われる労働と認定するというのは、組合が要求して、渋々会社が了承するというのが、私達の常識なんです。しかし、朝日の表現では会社が労働組合に「カイゼン活動には残業手当を支払いたいと思いますが、組合の考えははいかがでしょうか」なんですね。
さて、もう一つ。このカイゼン活動に残業代を払うと改善させる動機となったのは12月に判決のあった過労死裁判です。ところが、この原告の名前が「元従業員の男性」と表現されている。これは朝日の及び腰かと思わざるを得ません。なぜ、内野さんと書かないのか。書きたくても、書けないなにかがあるのでしょう
か。
判決後、原告の内野さんはトヨタの労働組合に出向いて、自分の判決を活用して、職場に生かすように申し入れをされたと聞いていました。
この記事を見ると、組合は動かず、会社が世論に押されて、組合に申し入れ、組合が「よし、分かった」と実現することになったのでしょうかね。なんとも皮肉ですね。事実は小説より、奇なりですね。ブラックユーモアも顔負けです。