森岡孝二 Jcastニュースによる朝日新聞「追い出し部屋」記事の悲しすぎる解説

12月31日のJcastニュースは<朝日新聞の「追い出し部屋」報道が「悲しすぎる」>という記事を載せています。

同記事は、<朝日新聞が2012年12月31日付朝刊の一面トップと二面に大きく掲載した、家電メーカーなどの雇用を巡る特集記事(本ブログ「トッピックス」に転載)がネット上で反響を呼んでいる>として、次のように述べています。

<「追い出し部屋」はここ数年大手企業で設置が目立ち始め、会社側が「余剰」とみなした社員らに事実上の自主退職を迫る狙いがあるという。ツイッターユーザーからは「身につまされる」といった声の一方、日本の厳しい解雇規制に言及した指摘も寄せられた>。

Jcastのこの解説は、まるで日本企業に厳しい解雇規制があることが、大企業の乱暴な退職強要や強制解雇を招いているかのように述べています。おかしいなと思って朝日の記事を読み直してみますと、<日本では、経営難の企業が従業員を解雇することは過去の裁判例できびしく制限されている。そこで企業は、仕事を与えられない社員に自主退職を促し、株主や銀行に約束した「人減らし」計画の達成をめざす>とありました。

Jcastの解説にによれば、経済評論家の勝間和代さんは、<この記事、ぜひご一読ください。終身雇用の陰の側をよく示していると思います>とツイートしていると言います。別の読者からは<(問題を解決するには)正社員解雇の条件をもっと緩くすべきだと思う」「経営の問題というより、雇用規制の歪みって気がする> といった感想も寄せられているそうです。

しかし、「追い出す部屋」の「悲しすぎる」現実についての朝日の記事は、大筋においては、家電業界などで広がっている新手のリストラ手法を報じたものです。ここに綴られているのは、「追い出し屋」ともいうべき人材サービス会社が顧客企業の依頼を受けて、従業員を執拗に責め立てて退職に追い込むあの手この手の手法です。ここには解雇規制のかけらもありません。それを逆に解雇規制があることが退職強要や強制解雇の原因であるかのようにいうことは、交通ルールを緩めれば交通事故はなくなるかのように言うに等しい曲論ではないでしょうか。

私は、Jcastニュースによる朝日新聞「追い出し部屋」記事の解説が、あまりに悲しすぎて我慢ができずにこれを書きました。

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