2006年9月に設立された「働き方ネット大阪」は、2013年7月末に、「NPO法人:働き方ASU-NET」に移行しました。ASU-NETは、働き方の改善を目指す活動家支援共同Activist Support Union)の略称です。
働き方NETは、ホワイトカラーエグゼンプション、派遣労働、パート雇用、官製ワーキングプア、ブラック企業、不況、震災・原発、格差、貧困、生活保護などに取り組んできました。ASU-NETは、引き続きこれらの課題を重視するとともに、〈まともな働き方〉をキーワードに、学生・若者支援と若手活動家育成を目指す労働者・市民連携のネットワークとして活動します。そのために雇用・労働に関する情報発信、各種講座の開催、講師派遣活動、研究調査活動と政策提言を行っていきます。
総務省「就業構造基本調査」によれば、2012年現在、パート・アルバイト・派遣などの非正規労働者は2043万人、38.2%にのぼります。30年前と比べて実数で3倍、比率で2.3倍に増えています。国税庁の「民間給与実態調査」によると、2012年の非正規労働者の平均年収は、通年勤務者に限っても168万円となっています。そのために非正規労働者は、1人で生計を立てる場合は、勤勉に働いても日々の必要にも事欠く貧困な生活を余儀なくされています。
非正規の短時間労働者の増加にともない、男女計の平均労働時間は減少してきましたが、男性正社員を中心とするフルタイム労働者は相変わらず働きすぎです。そのうえ、雇用の非正規化、人員削減、賃金切り下げなどが続くなかで、ブラック企業が増え、職場におけるいじめやパワハラが広がっています。その結果、若者のあいだでも、過労とストレスによる精神疾患が増え、過労死・過労自殺が多発しています。最近では就職難を苦にした学生の自殺も問題になっています。
第二次安倍内閣は、消費税率の引き上げ強行、TPP交渉参加、年金や生活保護基準引き下げ、医療・介護改悪をはじめとする社会保障の抜本改悪、さらには原発再稼働、憲法改悪などの一連の動きから見て、極めて危ない内閣です。「大胆な金融政策」と「機動的な財政政策」と「民間投資を喚起する成長戦略」を3本の矢とするアベノミクスは、デフレ脱却をもたらすどころか、消費税率引き上げの影響と相まって、実質賃金の下落と国民経済のいっそうの破綻をもたらすことが懸念されます。
雇用・労働分野においても、安倍内閣は、解雇の金銭解決、ホワイトカラーエグゼンプション、「限定正社員」、「解雇自由・残業ただ働き」の国家戦略特区などを導入し、財界の意向を受けた新自由主義的・市場個人主義的な規制緩和の総仕上げを強行しようとしています。
こういう情勢のもとで、本日、「どう変える日本経済と働き方」をテーマに、アベノミクス批判で話題の浜矩子先生を迎えて、ASU-NET第1回、通算18回目のつどいを開催したところ、定員200名の会場を埋め尽くす参加者があり、大成功を収めることができました。
第一次安倍内閣のもとでは、わたしたちは、ホワイトカラーエグゼンプション関連法案を、「残業ただ働き法」「過労死促進法」と批判し、国会上程直前で阻止した経験をもっています。この経験と、本日の報告・討論を踏まえて、財界と安倍内閣による生活破壊と雇用解体を許さない闘いをさらに盛り上げ、働き方の改善を勝ち取っていくことを、本集会参加者一同の名において宣言します。
2013年10月4日 ASU-NET移行記念講演会参加者一同