産経新聞 2013.12.11
東京都の猪瀬直樹知事は、自らの進退を決断するときを迎えているのではないか。医療法人徳洲会グループ側から、猪瀬氏が受領した現金5千万円の問題で、都政は立ち往生している。
都議会総務委員会で行われた疑惑追及の質疑で公明党などは、辞職要求を突きつけた。この混乱は当分続くだろう。原因が猪瀬氏の不自然な現金受領と、曖昧な弁明にあることは明らかだ。
猪瀬氏は昨年11月、知事選出馬のあいさつのため徳洲会前理事長の徳田虎雄氏に会い、後日、息子の徳田毅衆院議員から議員会館で現金5千万円を受け取った。
選挙後の生活に不安があって借りたもので選挙資金ではないという。無利子無担保で、借用証には返済期日も押印も印紙もない。
そんな大金を渡してくれた毅議員については「親切な人だと思った」。返済が今年9月、東京地検特捜部が徳洲会を強制捜査した後になったのは「五輪招致などで忙しかったから」。これを信じろという方が難しく、すべて事実であるなら、社会常識を疑う。
都が徳洲会が運営する病院などに多額の補助金を支払い、開設許可を出していたことも、猪瀬氏は「知らなかった。僕にとっては驚きだった」という。知っていようがいまいが、都職員であれば、利害関係者からの借金は「都職員服務規程」違反に当たり、懲戒免職処分の可能性もあった。