「平和のため貧困・格差の解消を」憲法記念日講演https://www.asahi.com/articles/ASM535DFCM53UJUB00K.html
朝日新聞ディジタル 藤谷和広 2019年5月4日03時00分
写真・図版 横断幕を持ってデモ行進の先頭を歩く宇都宮健児弁護士(左から3人目)。「憲法を変えずに、政治を変えよう」と訴えた=2019年5月3日、盛岡市
憲法の理想に現実を近づけるために政治が果たすべき役割とは何か――。憲法記念日の3日、盛岡市の岩手教育会館で元日弁連会長の宇都宮健児弁護士が講演、「戦争の原因である貧困や格差、差別をなくすこと」こそが、憲法の理念である「積極的平和」につながることを説いた。
戦争放棄をうたった9条改憲に反対する市民団体の主催。約400人が熱弁に耳を傾けた。
宇都宮さんは「安倍政権下で非正規労働者が約300万人増えた」「岩手の最低賃金762円は韓国の一律最低賃金835円より低く国内34県が同じ状況にある」「可処分所得122万円以下で生活する人は全国民の約16%に上る」などの統計を指摘。「健康で文化的な最低限度の生活を保障する憲法25条が空洞化している」と強調したうえで、「積極的平和とは貧困や格差の拡大という構造的暴力をなくすこと。(軍事力を認める)安倍首相の平和主義のとらえ方は間違っている」と訴えた。
講演後のデモ行進にダウン症の長男と参加した盛岡市のパート平井憲子さん(45)は「息子が差別や嫌がらせを受けないような、個人が尊重される社会になってほしい」と話した。(藤谷和広)