第1回 働き方はライフスタイル

森岡孝二の連続講座「働き方を考える」

第1回 働き方はライフスタイル

これから何回になるかわかりませんが、連続講座「働き方を考える」を始めようと思います。第1回目のテーマは「働き方はライフスタイル」としました。

ライフスタイル(lifestyle)を英語辞典で引くと、「個人や集団の生き方や働き方」(the way in which a person or a group of people lives and works)とあります。これを引き合いに出すまでもなく、人の生き方はなによりも働き方で決まります。あるいは働き方は生き方にほかならないともいえます。

 
人間の生活は1日24時間を単位に営まれています。働く人々の24時間の生活時間は、労働時間、生活必需時間、家事時間、自由時間に分けることができます。

生活必需時間というのは、睡眠、食事、排泄、入浴、身繕いなどで、生理的時間といわれることもあります。大人の場合、睡眠を平日1日平均7時間とすれば、1日の生活必需時間は10時間くらいは必要でしょう。

労働時間については後に詳しくみますが、日本人の男性は、週5日労働(週休2日)とすれば、1日平均約10時間働いています。昼の休憩が1時間あり、通勤に往復2時間かかる人であれば、1日当たり13時間が仕事関連に費やされることになります。

上の男性の例だと、13時間の仕事関連時間と10時間の生活必需時間を合わせて、23時間が消え、家事時間と自由時間のためには、わずか1時間しか残りません。家事は妻や母親に押しつけて、自分ではまったくしないとしても、これでは家族と語り合ったり、新聞を読んだり、テレビを見たりする時間はほとんどありません。

自由時間を増やすには、?労働時間を減らす、?家事時間を人に押しつける、?睡眠時間を減らす、?食事時間を減らすという選択肢があります。日本人の男性の大半は、?はできないものと諦めて、?、?、?を選択しているのではないでしょうか。またそのために家事を押しつけられた女性は、正社員には家事をしない男並みの働き方が求められる日本では、正社員としては働きにくい状態におかれているのではないでしょうか。

しかし、上の例からも明らかなように、生活時間を規定しているのはなによりも労働時間です。質の高い生活を左右する自由時間は労働時間で決まるとも言えます。にもかかわらず、自由時間を増やすために労働時間を減らすという選択肢を諦めるのは本末転倒もはなはだしい。心得違いもいいところです。

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