第33回 集中講義? 株式バブルと住宅バブル

こちらをクリックしてみてください。これはアメリカのS&P500銘柄の株価指数の推移ですが、比較のために1984年以降のダウの推移も示しておきます。どちらでみても、ブラックマンデーといわれる1987年10月19日の大暴落を除けば、株価は1980年代初めから2000まで長期にわたって大幅な上昇を続けてきたことがわかります。これは実体経済の動きからは説明できない異常な上昇、つまりバブルです。この株式バブルは、2000年のネット関連株の暴落と、2001年夏以降の全般的な株価低落で、一時(半ば)崩壊します。

しかし、住宅価格の推移を示したこちらの図をみてください。これからわるように、2001年から2006年まで、1990年代後半以降進行してきた住宅バブルに火がつきました。それに牽引されるように株価も、先の図に明らかなとおり、バブルの再現さながらに大きく上がりしました。

2001年当時、私は関西大学から在外調査の機会を与えられて、ニューヨーク市に留学していました。私のホームページに掲載した当時の「ニューヨーク通信」には、8月7日付けで「IT産業はいま過去最悪の状態」と題してつぎのように書いています。

大手証券会社の著名アナリストが半導体最大手インテルの大幅値下げ予想を出したことから、今日の証券市場はダウ、ナスダックとも、かなり下げました。半導体市場が需要低迷で値引き競争がさらに激化することはCNNの最近のニュースからも明らかです。歴史の浅い半導体産業はいま過去最悪の状態にあります。

今日のCNNでは「7月の米人員削減は前年比3倍超、過去最高」であることも報じられました。削減人数は今年1月〜7月の累計で98万人、うち10万人はハイテク業界で占められています。雇用情勢の悪化が続けば、これまで好調であった消費も鈍化すると予想されています。自動車のビッグスリーの大幅減益や、住宅建設の落ち込みも伝えられています。

アメリカ経済はまだ大不況的な状況にはなく、株価も暴落という事態にはならないでしょうが、秋に向かって一波乱ありそうです。そうなれば日本の株価や景気に深刻な影響を与えることは必定です。

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