第58回 賃金切り下げ、残業激減が暮らしを直撃

 昨秋以来の恐慌のなかで、給与所得の低下が労働者の暮らしを直撃しています。

 
厚労省「毎月勤労統計調査」によれば、今年2月、3月の全産業の労働者1人当たり現金給与総額は、前年同月比でマイナス3.9%、額では1万3000円近く減っています。製造業はマイナス6.3%、額では1万8000円余り減っています。
 
製造業で落ち込みが大きいのは所定外給与です。これには時間外手当、早朝出勤手当、休日出勤手当、深夜手当などが含まれますが、平たく言えば残業代のことです。産業計でもそれは、今年1月から4月にかけて、1〜2割減っていますが、製造業では4割から5割近くまで減っています。
 
去る6月2日の「朝日新聞」朝刊は、「賃下げショック」シリーズの1回目に、「時間外ゼロ、手取り激減」の見出しを掲げ、残業がなくなって、手取りがいつもの半分以下の約12万円に激減した労働者の例を取り上げています。
 
その記事に出ているように、「毎月勤労統計調査」によると、昨年3月から今年3月の間に、製造業の残業は17.2時間から8.9時間に、残業代は3万4260円から1万8122円に減っています。自動車など「輸送用機械器具」の従業員規模500人以上の企業は、7万4980円から2万3901円と、5万円以上も減っています。
 
先の手取りが半分に落ちたという労働者は、「24時間操業の2交代制で、夜勤と残業に加え、休日出勤も多い。ひどい時は残業が100時間を超え、時間外手当が給料の半分以上を占めた」と言います。月100時間というのは厚労省も認める過労死ラインの残業時間です。
 
好況の時に過労死しかねないほど働いて残業代をめいっぱい稼せいでなんとか暮らしていた労働者は、不況で残業がなくなればたちまちワーキングプアになって生活に窮するようになります。さらに酷い場合は首を切られて路頭に迷うようになります。これではとうていまともな働き方とはいえません。
 
ILOのいうディーセントワーク(まともな働き方)の3条件――まともな雇用、まともな賃金、まともな労働時間――をいまこそ政労使の3者で実現することが求められています。
 
 表 賃金切り下げの推移――月間現金給与の前年同月比較
産 業
現金給与総額
決まって支給す
所定内給与
所定外給与
 
 
前年比
る給与
前年比
 
前年比
 
前年比
 
 
09
産業計
272453
-2.5
265385
-2.4
248736
-1.0
16649
-18.8
4
製造業
294698
-5.6
286746
-5.7
268191
-1.0
18555
-44.1
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
09
産業計
273163
-3.9
262436
-2.9
246136
-1.4
16300
-20.8
3
製造業
292785
-6.3
284025
-6.4
265903
-1.1
18122
-47.4
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
09
産業計
273163
-3.9
262436
-2.9
246136
-1.4
16300
-20.8
2
製造業
292785
-6.3
284025
-6.4
265903
-1.1
18122
-47.4
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
09
産業計
272793
-2.7
262147
-1.7
244988
-0.9
17159
-10.9
1
製造業
294889
-4.3
284923
-3.7
265480
0.2
19443
-36.9
(出所)「毎月勤労統計調査」規模5人以上

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