今回の総選挙では派遣労働の規制が一つの争点になりました。にもかかわらず、全国各地の自治体では、各種の選挙業務に大量の日雇い派遣が利用されたと伝えられています。NHKニュースの不確かな記憶によれば、大量の派遣切りで経営が悪化した派遣会社が1時間1000円を切る低料金で売り込みをかけており、派遣労働者が受け取る時給は最低賃金ぎりぎりの780円まで下がっているそうです。
厚生労働省の労働者派遣事業の2007年度報告によると、一般労働者派遣事業の8時間当たりの派遣料金は平均14,032円(対前年度比9.9%減)で、賃金は9,534円(対前年度比9.8%減)でした。この場合、時給は1200円近くになりますが、派遣の時給は最近ではますます低下して、日雇い派遣では地域の最低賃金ぎりぎりにまで下がっている例もあると聞きます。それがまさしく選挙事務のための日雇い派遣なのです。
8月5日付の神戸新聞は、今回の総選挙では「全9区の開票所で約2700人が作業する。うち人材派遣会社3社の社員は715人と、約4分の1を占め、市の支出は約320万円」と報道しています。これは半端な人数ではありません。いかに経費を減らせるといっても、自治体が自民党も規制すると言っている日雇い派遣を利用するのは問題です。また、本来は正職員で対応すべき選挙業務を日雇い派遣に任せることは、選挙業務の信頼性を損なうものです。
選挙にかかわる日雇い派遣の利用は、自治体の投開票業務にとどまりません。どの党とは言いませんが、選挙運動に日雇い派遣を動員しているという話も聞きます。また選挙の出口調査に派遣スタッフが当たっていると言われています。それだけに問題の根は深いということです。
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