あけましておめでとうございます。
昨年は年越し派遣村から始まりました。派遣村は一昨年秋からの恐慌で切られた派遣労働者の避難所として開設されたものですが、派遣切りの嵐は年が明けて昨年1月からいっそう荒れ狂うようになりました。
派遣労働者の総数は、総務省「労働力調査詳細集計」によれば、2008年10−12月から2009年1−3月のあいだに30万人減っています。さらに2009年7−9月までに14万人減って、結局この間で計44万人も減っていることになります。短期派遣の登録型労働者の使い捨ての人数はこの統計には適切に反映されていないという疑いがあるので、派遣切りにあった人数は実際はもっと多いと考えられます。
この統計では派遣先の産業はわかりません。しかし、厚生労働省「非正規労働者の解雇・雇止め状況報告」で把握されている2008年10月以降に派遣切りされた労働者の97%は製造業で働いていました。そのことからいえば、さきの44万人の圧倒的多数は製造業で派遣切りに遭ったと推測できます。
国と東京都が開設した「公設派遣村」の入所者が12月30日現在、当初定員の500人を超え、639人になり、昨年の「年越し派遣村」に入所した505人を上回った、と伝えられています。これは派遣を中心とする非正規労働者の雇用情勢が改善せず、むしろさらに悪化していることを示すものです。
今年はどうなるでしょうか。労働者派遣法の2003年改定(施行は2004年)によって物の製造現場への派遣が解禁され、それまで既成事実化していた製造派遣が激増したことはよく知られています。ところが2008年9月のリーマンショックで世界が恐慌に陥ると見るや、実際に生産が大きく落ち込む前に早手回しに切り捨てたのが派遣労働者でした。
ところが、変わり身の早い大企業は、生産が回復しても、予想される派遣法の見直しを見越して、派遣依存を切り替え、請負や期間工やパートへの回帰を強めていると言われます。そうなると製造業における派遣労働者の間接雇用が容易に増えるとは考えられません。
製造業の大企業が派遣労働者を多用するようになった理由は、雇用主責任を回避できること以上に、いつでも使い捨てにできる労働力である点で、派遣が他の形態の非正規労働者に勝っているからでした。その派遣を使わないとなると、期間工やパートの雇用のいっそうのジャストインタイム化をすすめ、なおかつ派遣と並ぶ間接雇用である請負の派遣形態での利用、つまりは「偽装派遣」にほかならない「名ばかり請負」を増やす恐れがあります。
スットプ・ザ・ジョブカットのためには、派遣労働の見直しだけでなく、雇用全般の見直しと再建が急務です。それは正規切りを許さないためにも必要です。派遣切りや非正規切りほどには問題になっていませんが、前出の「労働力調査詳細集計」によれば、2008年9−12月から、2009年7−9月までのあいだに正規雇用(正社員・正職員)は20万人減少しています。
入手できる最新の数字である11月の前年同月比では、就業者数(自営業者と家族従業員を含む)は110万人も減っています。それと重ねて考えると、正規雇用の20万人の減少は重たい意味をもっています。
というわけで、今年は正規労働者が非正規労働者と手を携えて雇用の再建に取り組む年にしたいものです。