第96回 ソニー トップ3人で12億円の報酬

今日は今話題の上場企業の役員報酬の話をします。

今月の18日、ソニーの株主総会に出席しました。同社の株主総会へは、私が代表を務める株主オンブズマンが2002年から2008年まで役員報酬の個別開示を求める株主提案を行い、2006年と2007年には割を超す賛成を得ました。今年は「企業内容等の開示に関する内閣府令」が改正され、2009年度に1億円以上の報酬を得た役員の氏名と金額が「有価証券報告書」に開示されることになり、それに先だってソニーの総会が開かれるというので、各方面から注目されていました。

ソニーの総会には6000人を超える株主が出席します。これほどの規模の総会で質問をするのは勇気のいることですが、挙手をしたからといって多数の質問者のなかで当ててもらえる可能性はわずかです。

私は質疑応答の最初から挙手をしつづけましたが、第1会場で4人、第2会場で2人の質問があり、第3会場では質問者がおらず、「それでは第1会場に戻ります」という段になってようやく機会が与えられ、昨年度、1億円以上報酬を得た役員の氏名と金額などを質問しました。


報酬に関する質問に対して説明を行ったのは、報酬委員長の橘フクシマ咲江氏でした(彼女は02年に株主オンブズマンが女性役員の選任を求める株主提案を行った結果、03年に社外取締役に就任し、今総会で退任しました)。

総会で質問して明らかになった09年度に1億円を超える報酬を得た取締役は、ハワード・ストリンガー会長と中鉢良治副会長と大根田伸行副社長の3人でした。執行役のなかにも1億円以上の報酬を得た者がいるそうですが、その氏名と金額は有価証券報告書で開示されるとのことでした。

ストリンガー氏――8億1650万円(基本報酬3億1千万円、賞与1億円、ストックオプション50万株、権利行使価格2595円、約4億650万円)

中鉢氏――2億1500万円(基本報酬1億5000万円、ストックオプション8万株)で、

大根田氏――1億6400万円(基本報酬1億4000万円、ストックオプション3万株で

ソニーは、コアのエレクトロニクス部門で事業の不振がつづき、売上高を前年度比20%も減少させ、09、10年3月期と2年連続、純損益で赤字を計上しています。そのうえ従業員に人減らしと人件費の削減を強いてきました。それにもかかわらず、会長、副会長、副社長で総額約12億円の報酬とはいかにも高すぎます。

営業報告では、リストラを意味する「事業構造の改革によるコスト削減」が繰り返し強調されました。にもかかわらず、雇用の削減や人件費の切り下げについての説明はまったくありませんでした。

ソニーは、2008年世界恐慌による事業不振の影響もあって、2008年末には全世界で16000人規模の人員削減を行うリストラ策を発表しました。今年の総会収集通知の連結ベースで見た従業員数は、2008年3月から2010年3月までに12600人減少しています。これは正社員の数なので大量に切られた非正規労働者の数は入っていません。従業員の給与も下がっているはずですが、その数字は「有価証券報告書」が出ないとわかりません。

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