第193回 非正規労働者は結婚もまともにできないほど困窮しています

本ネットの「注目のニュース」蘭に昨日の毎日新聞の「非正規労働者の30代男性、未婚75%」という記事を転載しました。

元になっているのは8月30日に厚労省が発表した2010年「社会保障を支える世代に関する意識等調査報告書」です。記事は、30代男性の非正規労働者の未婚率は75.6%で、正規労働者の未婚率30.7%と2.5倍もの差のあるという点に注目しています。前回の2004年調査では、30代男性の非正規労働者の未婚率は45.5%でしたから、この6年で30ポイントも増加していることになります。記事がいうように、「非正規労働者の経済的な不安定と、未婚化の進行が強く結びついている」ことがわかります。

このことは、今日の日本における非婚化・晩婚化の重要な一因は、就業形態の非正規化(パート・アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託社員などの増加)にともなう、労働者階級の貧困化にあることを意味しています。

記事には出ていませんが、正規・非正規の就業状況別にみると、男性は正規の方が未婚率が低く、女性は逆に正規の方が未婚率が高くなっています。とくに30歳代は男性の未婚率は正規30.7%、非正規75.6%となっているのに対し、女性の未婚率は正規46.5%、非正規22.4%となっていて、男性では非正規労働者が、女性では正規労働者が結婚しにくい状況に置かれていることがうかがわれます。

(注) 本報告では全労働者に占める非正規労働者の比率は示されていませんが、同じく2010年に行われた厚労省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、非正規労働者の比率は38.7%に達しています。

 

 

この記事を書いた人