守口市の学童保育指導員雇い止め事件、提訴後の情報(2021.6.10 継続更新)

 守口市の学童保育指導員雇い止め事件は、2020年5月5日提訴してから一年を経過しました。
この間、中労委で2021年4月26日、労組側の団交を求める主張が認められ、それに基づいて大阪府、守口市が、会社(共立メンテナンス)の入札を停止する措置をとりました。
 また、京都市も、仁和寺前ホテルについて、同様な入札停止措置をとりましたが、「選定」は取り消さず議論を呼んでいます。
 提訴以降の関連情報を集めます。継続更新していきます。
 これまでの関連情報については、「守口市学童保育雇い止め裁判」カテゴリーのページをご覧ください。
 竹信三恵子「学童保育のエッセンシャルワーカーを襲った公務民間委託の闇 受託企業の入札資格停止から見えてきたこと」(論座2021.6.10)のリンクを追加しました。 New!   (swakita)

主な事実経過(2021年)

年月日事項備考
2021年
4月26日中央労働委員会 大阪府労委の「団体交渉の申入れに対し組合規約等の提出を求め、提出された組合規約に不備があるとして団体交渉に応じなかったことが不当労働行為に当たる」としての救済命令に対する会社(共立メンテナンス)の再審査申立を棄却
5月13日大阪府、共立メンテナンスの入札参加を1ヵ月間停止(5月13日~6月12日)
下記入札情報参照
5月13日守口市、共立メンテナンスの入札参加を3ヵ月間停止(5月21日~8月20日)
下記入札情報参照

中央労働委員会で勝利命令

入札情報

共立メンテナンス関連入札停止(大阪府、守口市、京都市)情報 Click
 大阪府守口市は21日、法令等違反により共立メンテナンス(本社・東京都千代田区)のPKP事業本部関西支店(大阪市中央区)の入札参加を停止しました。停止期間は8月20日までの3カ月間。
 これに先立ち大阪府は13日から1カ月間、同社の入札参加を停止すると発表していました。同社が中央労働委員会から不当労働行為で命令書の交付を受けていたためです。
 共立メンテナンスは2019年4月から児童クラブの運営を守口市から業務委託されていましたが、20年3月末に指導員13人を雇い止めにしました。同社は守口学童指導員労組の団体交渉を拒否。大阪府労働委員会の判断をへて、中央労働委員会は不当労働行為に当たるとして同社に団体交渉に応じるよう命じました。(しんぶん赤旗 2021.05.22)
大阪府は㈱共立メンテナンス(東京都千代田区)の入札参加を停止した。停止期間は5月13日~6月12日までの1カ月間となっている。同社が中央労働委員会から、4月26日付で不当労働行為による命令書の交付を受けたことが、停止措置の要件に該当すると判断した。
 同社は平成31年4月~令和元年7月にかけ、労働組合から3度団体交渉を申し込まれたが、組合規約に不備があるとして、応じなかった。大阪府労働委員会、中労委ともに正当な理由のない団交拒否に当たるとして、団交応諾とポストノーティスを命じていた。
 大阪府は各種法令に違反し、監督官庁から処分を受けた場合、1~3カ月間の入札停止にすると定めている。(労働新聞2021.05.26)

その他関連情報

報道記事・ネット署名・動画(外部リンク) Click


立住雅彦: 守口市は雇い止めされた学童保育指導員を復職させてください!

学童保育指導員という仕事は、学童期特有のままならない思いや表現の中にある気持ちを丁寧にくみ取り、寄り添うことを通じて、子どもに安心を与え、信頼関係を築きながら、放課後の生活をいっしょにつくるという高度な専門性が求められます。
 特にコロナ禍のもとでの新しい生活様式に、不安を感じる子どものケアが社会問題化する今、専門的な経験や知見を持ち合わせた指導員の存在がこれほどまでに重要視されたことはないでしょう。
 そのような中、守口市の学童保育指導員13名は合理的な理由もなく、突如として働く場を追われました。
 守口市は、学童保育の民間委託について多くの保護者や市民から上がった反対の声に対し「指導員が継続して働ける仕組みをつくる」ことを約束。委託契約の中に継続を希望する指導員の雇用を条件に入れ、2019年4月、委託事業者である(株)共立メンテナンスによる運営で、市内全14校区の学童保育がスタートしました。
 それからおよそ1年が経過した2020年3月31日、コロナ禍での開設対応で学童保育現場の業務も増し緊張も高まる中、豊かな経験をもつ施設責任者複数名を含む13名の指導員が雇い止めにあいました。仲間の指導員とともに子ども、保護者と時間をかけて信頼を育んできた人たちです。
その結果、市内全学童保育で大幅な指導員の配置転換や無資格・未経験者の補充も行われ、新たな担当指導員は慣れない現場で懸命に保育にあたらざるを得ない状況が生まれています。
 雇い止めにあった指導員、先生を奪われた子ども、安心を失った保護者の気持ちを思えば、委託事業者である(株)共立メンテナンスの態度は決して見過ごされるべきではありません。
だからこそ、守口市がこれを“委託先の問題”として静観するのであれば、行政による民間委託のあり方そのものが問い直されなければなりません。
 守口市には、委託前に保護者や市民と交わした「指導員が継続して働ける仕組みをつくる」という約束を守り、学童保育設置者として委託事業者を指導・是正させる責任があります。
 私たちは、保護者が子どもを安心して通わせることができ、何よりも子どもたちが楽しく通い、いきいきと育ちあえる学童保育へと発展させるために、次のことを要望します。
 1.守口市の責任で、雇い止めされた学童保育指導員を早急に学童保育指導員として復職させてください。
 守口市学童保育の保護者有志の会
【呼びかけ人】
守口市学童保育保護者 亀澤一郎
守口市学童保育保護者 中本真理子
守口市学童保育保護者 野見山香里
守口市学童保育保護者 山下泰吉
 集まった署名とコメントは、2020年12月の守口市議会に請願または陳情とともに提出する予定です。
 子どもも保護者も指導員も安心できる豊かな学童保育として発展するよう、私たちの声を守口市に届けましょう!

【竹信三恵子の信じられないホントの話】保育民営化の闇〜エッセンシャルワーカーの使い捨て〜20201205

コロナの感染拡大防止へ向けた緊急事態宣言などの下でも住民の生活を支えた働き手たちは「エッセンシャルワーカー」と呼ばれて称えられた。だが、こうした働き手たちは本当に報いられているのか。3月からの一斉休校の中で働く親たちのためフルタイムで小学生を預かった大阪府守口市の指導員たちが、4月からの民間企業への委託のあと、まとめて雇い止めにあった。千葉県四街道市のでも、社会福祉協議会に委託された学童保育の指導員が、子どもたちの過密受け入れに意見したことで雇止めにあった。
保育園でも、民間委託のあと利益が上がらないと突然閉鎖される事件が相次いでいる。保育士が園の改善やコロナでの休業補償を求めて団体交渉を行った直後に閉園が公表され、保育士が県外の他の保育園に異動させられる事件もあった。
 背景には、財政削減下での民間委託や、非正規公務員の法定化ともいえる「会計年度任用職員」制度などエッセンシャルワークの担い手の労働条件の悪化が見えてくる。
 「エッセンシャルワーカー使い捨て」の背景にある担い手の待遇悪化を、今年、会計年度任用職員制度に失望して退職した瀬山紀子さんと、守口市の元学童保育指導員で学童保育訴訟の原告の一人、中尾光恵さんを招いて考える。
収録は2020年12月5日

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