「コロナ禍」「コロナ下」考-ある労働裁判報道を巡って-

 2022年4月22日、報道各社は、守口学童不当雇い止め事件に関して、原告らの記者会見を踏まえて、事件について報道している。当日、多くの報道機関が記者会見に参加し、原告らに多くの質問をした。記者会見は1時間半に及んだ。

 報道した各社の中で、「学童指導員と委託企業が和解 コロナ禍で集団解雇―大阪地裁」との見出しで報道した機関があった。

見出しだけ読むと、委託企業がコロナの影響で集団解雇した、と読める。

 しかし、記事では「9人は同市直営時から9年半~36年半勤務し、労働組合に加入していた。2019年に同社が事業を運営してからは、「会社に反抗した」などと注意を受け、コロナ禍の20年3月末に雇い止めされた。大阪府労働委員会は21年10月、不当労働行為に当たると認めていた。」となっており、労働組合に加入していた9人が「会社に反抗した」などとして「コロナ禍の20年3月末に雇い止めされた」、とある。つまり、委託企業が会社に反抗したとして労働組合員をコロナが広がり始めた20年3月に解雇した、ということである。

この記事は、見出しで「コロナ禍」と出していることから、コロナの影響による事件、と捉えられる可能性がある。実は、労働組合弾圧で、コロナ状況下での解雇であったことに本質がある。原告らは、記者会見で、児童をコロナから守らなければならないときに、ベテラン指導員を「労働組合嫌悪」という身勝手な理由で解雇した、ということが伝えたかった

 「コロナ禍」と「コロナ下」、どちらを使うか、短い見出しであるだけに、考えさせられた記事であった

この記事を書いた人

伏見太郎