人形浄瑠璃文楽・ベテランでも年収400万円

  
橋下市長は凍結していた文楽協会への補助金3900万円を支出する方針を決めました。 一昨日の懇談で橋下市長は、協会の運営費として一定額を市が毎年支払う仕組みを問題視をして、事業ごとに審査したうえで助成する仕組みへの転換を要求しました。そして、?ベテラン技芸員の収入になっている協会の「養成費」を若手に分配すること。?観客を増やすため新たに事業を展開することを求めました。
報道でも、60代の技芸員は「45年やってきたが、年収は400万円弱。人間国宝も年収は大したことはない」と明かしたとのことです。若手の技芸員は「月給が10万円しかないのに、三味線の道具代に10万円かかる」と話されていました。
私のこの日の午後、とある77歳の三味線のベテラン師匠のご自宅でお話しを聞いていました。いろいろお話しを聞きました。芸能員は全くの「個人」であり文楽協会から仕事を指示されている派遣労働者のようなもので、協会から生活費が支払われるがその基準等分からないとの事でした。大阪市長は芸能員と交渉気分でしたが、派遣労働者をテレビの前に引き出した格好です。
若手芸能員の10万円にも羽織袴代、三味線代も自前のために込みとなっており、普通の生活ではやっていけないとのことでした。例えば三味線のバチは象牙で出来ており100万円はするもの、しかも数回の講演で先を取り替える必要があるなど経費だけでも収入は飛んでしまうことを訴えておられました。
300年もの浪速の庶民芸能文化、文楽は国際公演でも高い評価を受けています。パリ公演などでは2ヶ月間ほど続くそうです。フランス人は近松門左衛門をよく読んでいる人が多く、公演は人気があるそうです。曽根崎心中などの好まれるようですが、「心中」をどうフランス語に訳すのか悩むそうです。「複数で自殺する」と解されるようですが、人形浄瑠璃の文化性、物語性に海外の人もひかれるようです。
ベテランの師匠は橋下市長の文化を敵にする政治手法に強い憤りで語られていましたが、養成所で学ぶ多くの若手芸能員を苦しめている点を特に心配されていました。そして、最後に、大阪は経済と文化が町をリードしてきたはずなのに!と語られていたことが印象的でした。(H)

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