日本維新の会幹事長の松井一郎大阪府知事は30日、橋下徹大阪市長(日本維新の会共同代表)の問責決議案が大阪市議会で可決された際の対応について、「民意を問うことになる」と述べ、橋下市長がいったん辞職して出直し市長選を実施するとの見通しを明らかにした。7月21日に投開票される予定の参院選との同日選を想定している。
市議会は30日午後、旧日本軍の従軍慰安婦を巡る発言などを理由に、問責決議案を自民、民主系、共産の3会派が共同提案する方針。公明も賛成する見通しだったが、松井氏の発言を受けて「問責」としない方向で調整。こうした動きを踏まえ、橋下市長は辞職しない意向を示しているという。
松井氏は府庁で記者団に「問責決議案は不信任と同じだ。市長がやろうとすることに対し、(市議会が)審議に応じる価値はないということだ」との認識を示し、「その時は、市長がやってきたことを否定し、今後も期待しないのかどうか、大阪市民に聞かないといけない」と述べた。
橋下市長の意向については「絶えず連絡を取り合っている。政治家としての価値観は一致している」と述べ、同様の方針だと強調した。さらに「今の大阪の改革は橋下市長でないとできない」と、出直し市長選には橋下市長を再び擁立するとの意向を明らかにした。
争点については「パッケージで市民に判断してほしい」と述べ、慰安婦発言の是非や大阪都構想など橋下改革の是非を合わせて問う考えを示した。また、市長選で橋下市長が敗れた場合、「都構想を含め大阪の改革はできなかったとおわびする」と、都構想を断念する意向を示した。
出直し市長選で、橋下市長が再選した場合の任期は、1期目の残任期にあたる2015年12月18日までで、他の候補者が当選した場合は4年間となる。
調整中の問責決議案では、橋下市長が沖縄の米軍司令官に風俗業活用を求めた発言について、「市長でありながら市政を大きく混乱させ、深刻な国際問題にまで発展しつつある」と指摘。「市長としての職責を全うしているとは言い難い。公人の立場での発言には責任問題が伴うことを自覚すべきだ」と主張している。【熊谷豪、山下貴史】