ヤマトの未払い残業代、ふくらむ見通し 数十億円増か

 宅配便最大手のヤマトホールディングスがドライバーらに支給する未払い残業代が、ふくらむ見通しになった。支給額として2017年3月期決算で約190億円を計上済みだが、その後の調査でさらに未払いの疑いが判明した。支給額は数十億円ほど増えるとみられ、ヤマトは監査法人と対応を協議中だ。
 ヤマトHD、未払い残業代190億円 速やかに支払いへ
 ヤマトは、ネット通販の急拡大による荷物量増加への対応が遅れ、宅配ドライバーらの違法なサービス残業が常態化。2月からグループの社員約8・2万人を対象に勤務実態を調べていた。
 4月中旬に「大勢が見えてきた」(大谷友樹上席執行役員)として結果をまとめ、少なくとも約4・7万人で残業代の未払いが見つかり、未払い分の支給額は約190億円と発表した。ただ、一部の事業所では調査を続け、調査対象外だったパート勤務の社員についても申請があれば調べるとしていた。
 ヤマトは16日に予定していた有価証券報告書の関東財務局への提出を延期した。未払い残業代の支給額の規模や、決算への計上方法が定まっていないためとみられる。
 ヤマトの17年3月期決算は、売上高が前年比3・6%増の1兆4668億円だったものの、未払い残業代の計上が響いて純利益は54・2%減の180億円だった。5月には兵庫県の支店に勤めるパートでも未払い賃金が見つかり、労働基準監督署から是正勧告を受けている。(内藤尚志)

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