「だれだ、報道に情報流したのは」 職員に携帯履歴求める 東山梨消防

2013/03/19 朝日新聞 朝刊

 公表していない職員の処分情報を報道機関に漏らした職員がいるとして、東山梨消防本部(山梨県甲州市)が、全職員に私用の携帯電話の通話履歴を任意で提出するよう求めていたことが18日、同消防本部への取材でわかった。

 今年1月、許可を得ずにブドウ園でアルバイトをしたとして、40代の消防署員が文書訓告処分になった。東山梨消防本部は内規に沿って報道機関には公表しなかったが、2月に地元で新聞やテレビが報道した。

 東山梨消防本部によると「情報漏洩(ろうえい)があった可能性がある」として、地方公務員法(守秘義務)を根拠に情報提供者を特定しようとしたが、提供者は名乗り出なかった。このため、楠照雄消防長名で全職員115人に携帯電話の通話履歴の任意提出を求めた。すでに6人が履歴を提出したという。

 楠消防長は取材に、「情報漏洩(ろうえい)をしないようにという意識づけのためだった」と釈明。これ以上の提出を求めたり、すでに提出された履歴を調べたりはしないという。ただ、「手法は多少強引だったかもしれないが、正しいと思っている」とも話した。

 市民団体「公益通報支援センター」の共同代表で関西大学の森岡孝二教授は「携帯電話は私的なもの。任意とはいえ、全員に提出を求めており、明らかに行き過ぎている」と指摘する。(松本千聖、真海喬生)

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